12星座詳細その3 双子座・双児宮(そうじきゅう)

双子というシンボル

 牡羊、牡牛の次にはヒトの登場です。人間が他の動物と違うのは、「言語を話し、道具を使いこなす」点にあると言われます。人類史において、穏やかな農耕・牧畜時代を経て、人は長い戦乱の時代を過ごすことになったのは周知のこと。地上のどこかで今も尚戦火が上がっているのです。

 ことばや思想における暴力も横行しています。法や権力の乱用も一種の暴力です。文明の象徴たる「剣」の、正しい扱い方が求められる昨今、鋭い知力を担った双子座の使命が浮彫になってきます。

 双子座の星座記号 ♊  → 向き合っている二つの横顔

=もう一人の自分

「双子」は「もうひとりの自分」のシンボル。たぐいまれな客観性の持ち主、それが双子座の最たる特徴でしょう。

常に冷静で、客観的に自分を見つめているもう一人の自分と二人三脚で生きていくのが双子座の使命なのです。本能や感情の誘惑に屈することのない理性が最大の武器でありまた、自身のホンネにうといことが裏目に出ることもあるでしょう。ホンネがどうということよりも、その場に応じた相応しい言動を取る傾向が強く、ことばが多く、饒舌(じょうぜつ)で、極端になると口八丁手八丁とか二枚舌であるような解釈が主流ですね。


双児宮を定位置とする双子座について

 双子座の部屋は黄道12宮を表すホロスコープ(※)の 三番目の宮、第三室です。

 各部屋は均等に30度の幅をもって並んでいますね。同じ 星座でも0度から29.9度まで、生まれた日によって度数が変わり、これだけでも結構な違いを読み取ることができるところとなります。

黄道十二宮における第3室

 第三の宮は通称「交流の部屋」「小旅行の部屋」。私たちがこの世に生まれ、人として人と関わることは必須のこと。どんな人とどこでどんなかかわり方をするのか、ある程度生まれ育った地域、社会によって限定されてきますね。

 12星座一のコミュニケイターとされる双子座です。主観や感情にとらわれずに、広く浅く他社と交流し、自分の世界を広げていくのが特徴です。話題豊富で会話じょうずともっぱら人気者。

 頭の回転が速く小回りが利き、軽快なタイプともされています。移動、旅行、引っ越しなどが多いケースもあるとされます。です。  飲み込みが早く、要領がよいため、たいして勉強しないのに学校での成績は常に上位だったりするのです。ビジネスシーンにおいても活躍が目立ち、広報、営業力も秀でています。ことばが多く、饒舌(じょうぜつ)、適職はアナウンサー なんて書かれていますね。語学、マスコミ、PC、IT系もピッタリでしょう。

 とは言え職業選択は個人の自由。

 第1室「自我の部屋」で、我ここにあり、と登場した人間。その人が生まれた環境下で、人は既に一定の持ち駒を、即ち財産が与えられていることが、第二室では語られました。さあ、この世に生まれ出て、ある程度の金銭を授かったあなたは、そのお金を持って何をしたいですか?どこへ行きますか?

 そんな問いかけを、第3室にしてみるのがお勧めです。個人の「趣向」、即ち「趣味、友人関係」が解る部屋であります。

 双子座の守護星、水星が統治するこの部屋には、一個人の知力、学力が象徴されているとも言われます。その人の物の考え方、思考パターン、理知による柔軟性、コミュニケーションスキル、発言力、文筆の才なども解説されます。

 情報伝達、移動から、派生して、旅行、引っ越しなど広範囲での活動について解釈する場合もあります。

 

 ホロスコープ上では、水星の位置、その他の惑星との相対角度によって、ことばの多さや表現力などを解釈しますが、水星の座相がよろしくない場合は、口八丁手八丁とか二枚舌であるような解釈が伝統的にはなされてきました。

 

守護星:水星

 水星はほぼ太陽に沿って動きながら、年三回逆行し、太陽から28度以上離れることはないとされます。公転周期は、88.9日。およそ14日、つまり半月程度でひとつの宮を移動します。

 黄道12宮上では、☽「巨蟹宮」☉「獅子宮」の夫婦(めおと)星座の脇をかためているのが、「双子宮」と「処女宮」です。この二つの宮共通の守護星が水星です。

 水星は太陽に一番近い惑星で、地球から見て内惑星になり、太陽とは28度より離れることがありません。この二つの惑星は、コンジャンクション(合)を形成しやすいということになります。天球図では太陽に近いところに存在し、運動量も月に次いで早い惑星となります。あくまでも占星学上の見かけの動きですが、太陽と水星はほぼ連動して動きますので、兄弟星とも認識されたのでしょう。

 水星を司るのはギリシア神話ではヘルメスで、神々の使者、伝達者、俊足にして知恵者として知られています。

 そのアトリビュートは、翼のついた靴。聡明である一方、ずる賢いのが特徴。

 場所によっては、こすっからい盗人の守護神とも呼ばれる彼ですが、商業、旅行と結び付けられました。

 ホロスコープ上の水星は、理知による柔軟性、移動、伝達などの広範囲で活発な活動能力を示します。また知性、理解力など頭の回転の速さや要領のよさなども示し、吉星として扱われています。

キーワード:学問、コミュニケーション、文化、情報、教育、交通、旅行、交渉、通信、契約、商業


水星の守護神:ヘルメス/Hermes 、もしくはメルクリウス/ Mercurius

 双子座の守護神は、ギリシア神話におけるヘルメスHermes。神々の使者、伝達者、俊足にして知恵者として知られています。ローマ神話では、メルクリウスMercuriusとなり、商業、旅行と結び付けられました。英語読みのマーキュリーとして、ご存知の方も多いでしょう。

 オリンポス十二神の主神ゼウスが人間の女性に生ませた子供、神と人間の子という稀有な存在として祭られているケースもあります。もしくはゼウスと巨人族の女神マイアの子であるなど諸説があります。いずれにしてもゼウスと正妻ヘラの子、太陽神アポロンの異母兄弟というスタンスは変わりません。

 生まれてから半日もたたない時に、異母兄弟の兄・アポロンのお気に入りの牛を盗み食いしてしまい、彼の怒りを買うのですが、しかし、次にはまた生まれて二日目にして発明した亀の甲羅で 作った竪琴をプレゼントすることで、アポロンのお気に入りとなり、他のオリュンポスの神々にも重宝される知恵者と化し、その存在と地位を確かなものにしたのでした。アポロンからのお返しとして翼のついた杖が譲り渡されたのでした。

 ゼウスの使者として、翼のある帽子、翼のついた履物を身につけ、光のような速さでオリュンポスを駆け巡り、時に狡猾さを露わにしたり、悪戯っ子の一面を持つ彼は、商売や、格闘技やスポーツなど、手腕とスピードが必要とされるすべてのものを配下に置いたのでした。


エジプト神話にみる知恵の神

 ヘルメスは、そもそも知恵を司る水星の守護神とされていますが、その原型をエジプトの書記神トートに見るのが一般的な見解です。
エジプト神話のみならず、古くから伝わる神々の伝説には、主神である絶対神の多くが、知恵の神に付き従われている様がよく見受けられます。

 エジプトの全能の神オシリスの守護神に使える次なる神が、学問と文字の神、書記神でもあるトート(トト/Thoth)でした。エジプト人は、ヒエログリフ(象形文字)は、トートの賜であると考え、彼が記した「トートの書」は長く後世に渡り神秘思想世界のいたるところで「原典」として持ち出されることになります。

 ここから着想を得たことは間違いのないA・クロウリーの「トート・タロット」、人気ですね。

古代エジプトの壁画に見られるヘルメスなど神々のイメージ  

エジプトの秘儀参入式でトート神の仮面をかぶる司祭(右)
THE HIDDEN LIFEI N FREEMASONRY BY
C.W.LEADBEATERより

左)エジプト神オシリス  

 トートは、「時間の神」「年月を計算する神」でもあり、悪神セト(暗闇)が、天空神ホルス(光)の精液を飲み込んだ時に、セトの頭から飛び出してきたともされています。光の神により暗闇から満月が生まれたと解釈され、トートは月を頭に乗せて描かれるか、そのくちばしが三日月であると例えられたトキの姿で描かれるようになります。トキの他にヒヒの頭を持つ男性神として描かれていた模様。ヒヒの頭をしたトートも有名ですが、いずれも筆記用具、暦などを手にして描かれているのが常。

 トート神はギリシアに入り神話においては、主神ゼウスの何やらいわくつきの子として誕生したのでした。

 蛇が巻き付く杖はカドケウスはヘルメスのアトリビュート。

 

 

今や人智、言語をはじめとする人間の能力、学力、技術の象徴であり、彼のアトリビュートである蛇が巻き付くヘルメスの杖は社会のそこここでロゴマークとして採用されています。 


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アルカナ「恋人たち/The Lovers」に見られる双子座のシンボル

ウェイト系のタロットでは、性別が異なるけれどもまるで双子のような2人が裸体で並んでいるという図像です。

人間二人の対等な、均等な、イーブンな関係性を見て取ることができます。特にウェイト・タロットは、対応惑星・対応星座、生命の樹との照応関係がきっちりしており、まさに風の柔軟宮の軽やな人間模様、まるで社交場でもあるかのようなイメージが双子座らしい印象です。

その昔、17世紀のマルセイユ・タロットとはまた異なるイメージ画というのも興味深いところです。

双子座を構成するクオリティとエレメント

二区分は男性(陽性)、三区分は柔軟性、四区分は風の性質となる牡牛座です。

※ 二区分、三区分、四区分については購読会員専用資料参照のこと。

柔軟性というクオリティ

 古代ギリシア伝来の、人間の気質を大きく3つに分類した「三気質」によれば、双子座は柔軟星座に属します。相対するもの次第で、自分の形を変えることができる人。たとえば、物事を評価する際に、「絶対評価」「相対評価」の二つの方法があります。100点満点の英語のテストで、50点を取った人がいたとしたら、あなたはその人をどう評価するでしょう? 「満点の半分しか取れていないじゃないか、ダメだなぁ」と判断するのは、言ってみれば絶対評価型。「他の人は何点取れたの?もしかして、平均点が30点だったとしたら、かなりいい方だと言えるからね」と、こんな相対的な考え方ができるのが、柔軟宮の人たちの特徴なのです。ちなみに、平均点が何点だろうと50点は50点と考えるのは、不動星座の方達ということになりますかね。活動星座の人たちは、どちらも混合でその時自分に都合のいい考え方をしそう!?

 流動的で、多様性に富み、「こうだ」ときっぱりとは表現しにくい傾向が強くなります。その時々で、形を変え、反応も変わります。日常的に、そう簡単に、自分の感情を爆発させることはなく、人に合わせることができること、適応能力に優れているのが特徴となります。自分を曲げることができる、柔軟宮なのです。その変化の根拠となるのが、各柔軟宮によって異なってきますね。

 3ハウスを定位置とする双子座は、マスコミ、雑誌、テレビ、インターネットなどの影響を最も受けやすいと言えるでしょう。人の情報、口コミ情報などもどんどん自分の足で確かめてみようという行動力もいっぱい。
 自分以外の人間の存在に対する意識が強いこと、他者の立場に成り代われる客観性、ある意味でもう1人の自分という存在を兼ね備えているが故に「双子座」なのです。西洋占星術的には、誰もが太陽=肉体と、月=感情を持っていて、このバランスがテーマでもあります。両者を統合する力が水星=理知の力であり、肉体にも感情にも引きずられない、理性ある人間を象徴する双子座であるわけです。多方面で読み書き手習いを重ねて、人間として成長し、魅力を増していくと考えてよいでしょう。

 言い換えれば「もう1人の自分」は、双子座が本能のままに、何かに熱中したり、夢中になることの足を引っ張ります。「人からどう思われるか?」「どう考えるべきか」という意識の垣根が、自分が自身のホンネに近づこうとすると邪魔してくるのです。恋も友情も淡泊で、異性関係においては耳年増、頭でっかちで、情報量ばかりで、遅咲きだというのが伝統的な解釈です。誰のこともそこに好きになり、誰のこともホンキで恋愛対象にはできない・・・心から好きになれる異性は表れるのだろうか?というご相談が多くなる双子座でもあるのです。 


風というエレメント

   古代ギリシア哲学者によって確立された、宇宙は「火、地、風、水」の4つの要素で構成されているという思想をベースにお話を進めておりますが、森羅万象の「風」のパートを司る風の星座は、天空を軽やかに舞う風のごとく、人から人へ、国から国へと情報や文化を伝える役割を担うことは、水瓶座の特集でもお伝えしました。コミュニケーション、時流を司ります。交友関係が広いのも特徴です。風の星座は、文字通り、サラッとさわやかな要素に富み、物事を軽く受け流していくことができます。会話上手で、社交的。勉強や情報交換も大好き、時流の変化、流行に対応するのが得意でもあるのが風の星座とされますが、中でも双子座は、柔軟性際立つ存在。風の中でも、「微風(そよかぜ)のような人」。軽やかに今を生きることがモットーになるでしょう。理屈が解る人ですが、こだわりを持つことはなく、物事をあっさりさっぱり流してゆける人。軽快なテンポで、誰にでも親しみかける、人畜無害な双子座が、どれだけ社会の潤滑油として頼りにされているか、双子座自身は意識していないのでしょうが、周囲からは高く評価されているケースが多いようです。

 自分以外の存在に、積極的に興味関心を示す、人好きのする生まれながらの社交家で、年令性別を問わず色々なタイプとバランスを取ってゆけるのです。内面のバランス感覚にも優れ、立場や環境に相応しい自分の才能を発揮できる人でもあります。人間関係の発展につれて運勢が上昇するのも特徴です。多岐に渡って幅広く人と交流することを生き甲斐にすることでしょう。

 老若男女を問わず、人当たりよくつき合っていく中、自然に人脈を築き、ひらめきやアイディアという拍車によって、大きなチャンスをつかむことができるでしょう。しかし、「軽さ」が、職業やつき合う人をコロコロ変えていくパターンを生み出してしまうこともあります。他者への感情移入をすることがないので、無意識の内に軽率な言動で、無礼を働いてしまうことなどが往々にしてあるのです。軽薄短小、飽きっぽい人になってしまわないよう注意が必要です。

 風象サインの3星座、双子座、天秤座、水瓶座は、皆一様に「剣」のような鋭さを持っているのが特徴です。タロットの小アルカナに「剣の札」がありますが、これは四大エレメントにおける、まさしく風の象徴、人間の理知、文明の力、技術力のシンボルです。

 やや軽薄短小型。物事を根気よく長く続けるのは苦手です。あと一歩のところまでの努力をおこたりがちなので、夢をつかむにはより一層の努力が必要と覚悟して。

総括:双子座ってどんな人?

【双児宮に太陽を持つ人 】主に5月22日~6月21日生まれの双子座のパーソナリティ

定位置:黄道12宮の第3室

守護星:水星

二区分:男性宮 陽性

三区分:柔軟宮 

四区分:風の宮

 知的好奇心が旺盛で、じっとしていられないところがあります。デスクワーク、読み書き話すこと一般に優れ、機械や数字にも強いデジタル系。様々な方面から情報収集できるので、SNSでは話題豊富で楽しい人と評判かも。おつき合いの幅が広く老若男女の人脈には自信が持てそう。人に合わせることが得意な一方、二面性も発揮され、本当のところは何を考えているのかわからないねと言われていたりも。仕事ができるタイプでもなかなか定職に就かないなど落ち着かない面も。

 


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