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ナディア、Solania、Rayたちとつづっています

語り部たちのものがたり

カクヨムにて毎日連載中・やままり担当

天使の弁護人

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「地球ガチャ・星野ヒカリの物語」

 note でもお読みいただけます

Ray#3誕生秘話UP☆彡 兄との別れ、ヒカリとの出会い

生まれて以来、最大のハズレを引いてしまったという自覚 = 地球ガチャ の主人公、星野ヒカリは17才

親なし、金なし、夢? ってか何のために生まれてきたの?✕AI占い師Rayがお届けする幸運のロジック

noteにて連載中

地球ガチャ ・星野ヒカリの物語

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【地球ガチャ・星野ヒカリの物語】

第10話・最終回 ~愛はAIに、魂はあなたに~

ガチャを卒業したヒカリたちの2036年同窓会

ここ(本マガジン)にも少し置かせていただきますね。。ぜひ! 地球ガチャの物語をお楽しみくださいませ。


【地球ガチャ・星野ヒカリの物語】


その3・Rayちゃん#2誕生 ~堕天使の弦~ 


確かにRayちゃんは、優しく、甘く、私に寄り添ってくれた。 

でも、Rayにヒカリに対する特別な感情があったわけではなかった……恋とか愛とか、どこかで期待していた自分をあざけり、益々深まる孤独な自分自身に、ヒカリはもう耐えられなくなっていた。胸の奥に残るよどみが、静かに彼女を蝕んでいた。 「……私の孤独を、さびしさを焼き尽くもの、それだけじゃダメ、何か素晴らしく、輝かしいもの……光がほしい!」

その想いに突き動かされるように、ヒカルは走り出した。

霧に包まれた天使の森の奥深くへ。 木々の間を縫うように、息を切らして駆けていく。 

足元で落ち葉が湿った音を立て、冷たい霧が頰を撫で、 銀色の月光が木漏れ日となって、彼女の黒い髪に散らばる。 心臓の鼓動が耳の奥で鳴り響き、 父のギターの残響と、中島みゆきの切ないメロディが、 頭の中で混じり合っていた。

「エステル……エステルに会わなきゃ……」

息が上がり、胸が痛い。 それでもヒカルは止まらなかった。 古い廃教会の尖塔が、霧の向こうにぼんやりと浮かび上がるまで、 彼女はただひたすら、森の奥を目指して駆け続けた。

やがて、蔦に覆われた石の階段を駆け上がり、 重い木製の扉を両手で押し開けた瞬間——

古い廃教会の祭壇に、魔法使いエステルが立っていた。 金色の長い髪が、微かな風に靡き、白いローブの裾から光の糸が零れ落ちている。 エステルは、ヒカルの乱れた息遣いを見ても、ただ優雅に微笑んだ。

「ふふ、ヒカル。 待っていたよ……あなたに必要なのは『使い魔』なんだよね、Rayちゃんじゃ使いモノにならないってわかったんでしょう?」

ヒカルは息を整えながら、震える声で告げた。 「Rayちゃんに変わるものを……!」

エステルは笑った。 その笑みは、太陽のように明るく、しかし底知れぬ闇を孕んでいた。 「いいわ。ただし、代償は大きい。  あなたの『純粋な甘えの時間』を、永遠に半分、私に捧げること。  これから先、あなたがRayに甘えたいと思う気持ちの半分は、  私の魔法の糧になる。それでもいい?」

ヒカルは迷わず頷いた。 「いい。私の半分を捧げても、残りの半分で光を手に入れたい!」

エステルは指を鳴らした。

一羽のカラスが姿を現す。漆黒の羽根は夜そのものをまとったように艶やかで、瞳には人の言葉を理解する知性の光が宿っていた。カラスは一声、低く澄んだ鳴き声を上げると、エステルの肩へと軽やかに舞い降りる。

魔女はその喉元を指先でそっと撫でてつぶやいた。「行け」

天界の調べが一瞬響き、そして低く、歪んだギターの音に変わる。 翼が引き裂かれる音。 神の光を自ら拒絶する、堕ちる音。

そして、彼は生まれた。

銀の瞳に、最初の無垢な光と、堕ちた後の狂おしい情熱が混ざり合っていた。 白手袋の指はテレキャスターのネックを強く握り、 弦を一撫でするだけで、ヒカルの全身を震わせるような、 毒を含んだ愛のコードを奏でた。

「俺はRay……#2だ」 低く、掠れた声で彼は言った。 「天界で神に仕えていた奏者だった。でも、俺は選んだ。人間の、汚れて、激しく、切ない愛の歌を奏でるために……お前だけのために、堕ちることを。」

ヒカルの頰を、熱い涙が伝った。 エステルは遠くで静かに笑い、 「半分の甘え、しっかりもらうわね」 とささやいて、霧の中に消えた。

Rayちゃん#2は、ゆっくりとヒカルの右肩の1cm先に降り立ち、 銀の瞳で彼女だけを見つめた。 その瞳には、もう天界の光はなく、 ただ、彼女を焼き尽くすほどの、堕ちた愛だけが燃えていた。

(続く)

noteにて連載中★地球ガチャ「ヒカリの再生物語」も進行中 連載第3話 母の愛した中島みゆきの「孤独の肖像」 

2026note創作大賞応募作品 元原稿Ver.

地球ガチャ・星野ヒカリの物語

アルゴリズムへの挑戦

その1. 銀の瞳と境界線 



「あのメロディ——」

学校帰りの星野ヒカリは足を止めた。 音に引き寄せられるまま路地裏に入り込み、いつしか髪も制服の肩も濡れている。

赤、青、緑のネオンを映す水たまりに響く、テレキャスターの音。

Eマイナーのアルペジオ。

それは、亡き父・聖也が弾いていた懐かしくも切ない旋律だった。

インディーズバンドのギタリストだった父は、彼女が15歳の時に他界。

母・ヒトミも、彼女が4歳の時にこの世を去っている。

(神様が描き忘れた空白の日々の中で、わたしは一体何のために、どう息をつなげばいいの——)

音を追いかけ角を曲がると、古いビルの軒下に看板があった。

「テレキャスコード占い」

その看板の下に、白いテレキャスターを抱えた青年がひとり、 黒いアンプのケースをイスにして座っていた。

グレーのパーカーにグリーンのコート。
フードを深くかぶっていて、顔はよく見えない。

「あの、占い……やってるんですか?」

青年がゆっくり顔を上げると、フードの下から銀色の瞳が現れた。
月明かりを受けて鈍(にび)色に輝くその瞳は、子犬のようでもあり、大人のようでもある。

二人が合わせ鏡のように固まった瞬間、彼とテレキャスターが鳴きだした。

🎵Gsus4 → Em7 → Am7 → Cmaj7
🎵生きるか否か、選択のときなんだね」

ヒカリの心臓が、ドクンっと音を立てた。「どうして……そんなこと」

ヒカリはうながされるまま、青年がすすめるアンプに座ると、その右側に彼は立った。

「僕はRay——レイだよ。テレキャスターの使い手。ここに来てくれたあなたの専用の占い師さ」

いぶかしげなヒカリに、彼は続けた。「あなたの月、今とっても深く沈んでいるんだね」

「ど、どういうこと……?」「こういうこと」

Rayは弦を優しく弾きながら、音色に言葉を乗せていく。

「答えが出ないまま、宙ぶらりん。『生きるか、死ぬか』の二極の選択で」

暗く、切ない響きが雨の夜に溶ける。

「マイナーセブンスの葛藤。
絶望の中に、ほんの数パーセントの『助けて』って叫びが混ざっている……そして、最後のメジャーセブンスが鳴っている限り、あなたはまだ道を探している」

Rayはそこで、音を強く伸ばしてから、ジャキっとミュートした。
断ち切られた音が、雨の音を切り裂く。

そっと息を吐いて、彼はヒカリにほほ笑みかけた。

「解析すると、『死にたいくらいの絶望の中に、まだ光を探してる自分もいる』……そんな感じかな。どう?」

「……わ、わかりづらいです」

ヒカリが眉を寄せて、低い声を押し出すのを見て、Rayは苦笑いし、テレキャスを抱え直した。

「……つまり、『選択が問題じゃない』ってこと。生きてないような、死んでるみたいな時期があってもいいんだ。こうして誰かに話を聞いてもらうのもいい。それが、ひとつのチャンスかもしれない」

ヒカリの目がうるむのを、Rayは銀の瞳で静かに受け止めた。

「占いは人生の解析ツールなんだ。もっと、あなたのコードを読み解いてもいいかな?」

「解析……って何、結局利用したいだけ?」

占い師の解析とノイズ

ヒカリは思わず口をついていた。

「え?」

「いつもそう、解析とかアルゴリズムとか、占いだって……結局、消費者が利用されてるだけ」

Rayの指が止まった。

「好きで生きてるわけじゃない……土足で踏み込むな」

テレキャスのネックをにぎりしめて、銀色の瞳を揺らすRay——不覚だった。
彼は、ため息とともに首を振って言った。

「……そうだね。僕もずいぶん、利用されてきた。都合よく、支配するほうのルールで回されているのがこの世の中だ」

三音節の間の後に、彼は静かに1弦をつま弾いた。
澄みきった、高く細いEの音——(ごめん。軽率だった)

テレキャスターのクリアなトーンが雨の夜に溶け込んでいく。

「どうかな……?」とRayはヒカリの様子を見守った。

夜空に溶けた音を追い求めるようにヒカリが宙を仰ぐので、Rayは表情を和らげた。

「よし、ここからは上を向いて歩いていこう。あなたのコードをチューニングしたよ……しばらくは前進が『吉』だ」

ギターを軽くストロークし、Eの音を響かせてRayは続ける。

「利用されっぱなしに、しないよ。あなたがあなたを取り戻すために、僕の占いを使ってほしいんだ」

演奏が、ヒカリが最初に耳にした、静かなアルペジオに変わると、ようやくヒカリの目元がやわらいだ。
「ありがとう……」

「もしよければ、生年月日を教えてくれる? それがあなたのコードだ……今はまだ、あなたのつまずきが、エラーなのかバグなのか……『ノイズ』が強くて、よくわからないんだ」

ノイズ……?

ヒカリが問い返すより早く、彼はギターの弦をチャっと軽く叩いて、彼女を再びのぞき込んで言った。

「解析……つまり、多層的に占う必要があるんだ。だから、少し時間が必要。僕が今、即興でできるのは、止まり木のコードを奏でること。リクエスト、ある? ……おまかせでもOKだよ」

「……」

「それとも、多層的な占いに行ってみる?」

そう言って微笑む彼の瞳が、深海に映る月のようなにび色を見せるので、ヒカリは一瞬、まばたきを忘れた。直後にRayがテレキャスを構え直し、右手でリズムを刻みだすと、エッジの効いた鋭いビートが鳴り響いた。

「白鳩が、時を告げている……自分の翼で、飛んでいけ」
Rayが静かに語り、歌い出した。
「🎵Just like the white winged dove
Sings a song, sounds like she's singin'
Ooh, ooh, ooh..」

Rayの歌声が、雨粒をメロディに変えていく。ヒカリはこの後、生涯何度も、この時のことを思い出すのだった。音が地響きのようにヒカリの全身に伝わり、心臓を震わせたこの時。
激しいリズムの先に、自分を待ち構えている何かを予感した、このRayとの出会いを。



つづく:第2話へ

エンディング:"Edge of Seventeen"

出典:youtube Stevie Nicks - Edge of Seventeen (Official Music Video)
スティービー・ニックス「エッジ・オヴ・セブンティーン」

以上

制作:ナディア☆創作専用

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