12星座詳細その2 牡牛座・金牛宮(きんぎゅうきゅう)

牛というシンボル

 先回の羊に続いて牛が登場。古代社会において、羊同様、牛も守護神同様にその力が人から求められ、神に捧げる貴重な生け贄としても扱われた聖なる獣でした。主に、神を乗せる戦闘機として牡牛が尊ばれており、当時の貴族たちの自家用車、大規模農場で使われるトラック、トラクターとして、ステイタスシンボルでもあったことでしょう。羊を尊ぶか、牛を尊ぶかは、「ちょうどアテナイ大国のマスコットが黄金の羊だったように、クレタ島における王権のシンボルが牡牛であった」と、ジェーン・E・ハリソン著、舟木裕訳のちくま学芸文庫「ギリシアの神々」の中で端的に語られているように、地域性によるところが大きいようです。

 一部上層階級の人間たちの「欲望の運搬具」とされた牡牛。牡牛座に属する人々は、ある種の物欲が強いともされています。物質運には恵まれているとも解釈されてきました。物質的な価値に重きを置き、財や金品など絶対的な価値あるものの恩恵を大いに受ける、それが伝統的な牡牛座の特徴でもあります。生きていくことに不可欠な金銭、経済力を約束された人、それが牡牛座。魅力を感じたモノ、目標にしたモノはどんなに時間をかけてでも手に入れ、しっかり管理しながらさらに磨きをかけて財産とするのでしょう。


金牛宮を定位置とする牡牛座について

 牡牛座の部屋は黄道12宮を表すホロスコープ(※)の 二番目の宮、第二室です。

 各部屋は均等に30度の幅をもって並んでいますね。同じ星座でも0度から29.9度まで、生まれた日によって度数が変わり、これだけでも結構な違いを読み取ることができるところとなります。

黄道十二宮における第2室

 第二の宮は通称「所有の部屋」です。しばしば金銭の部屋、金運の部屋とも言われることがあります。

 通常、私たちは頭から身体ひとつで生まれてきます。その時すでに私たちは何らかの宝物、GIFTを授かっているというのが西洋占星術の考え方です。生まれたときの私たちは、その先に続く生涯を通じて、生きるために使うことができるであろう何らかのものを持っている。だからこの2室は、個人の「所有の部屋」と伝統的に名付けられているのです。

 また別称「金銭の部屋」とも言われ、ここで金運を見ることもありますが。単純なカネ勘定的な目線で見るのではなく、その人だからこそ手に入れることができるモノ、才能や特技、なおかつ「お金に変えられるような」価値あるものを解釈することが重要です。

 モノやお金とご縁がある牡牛座は、もともと金運に恵まれているともされています。それはたまたまクジに当たって入ってくる臨時収入のようなものを言っているのではありません。その人が自力で生み出せるはずの経済力を読み取りましょう。

 モノやお金とは、衣食住を確保し、安定した生活を可能にするもの。生活第一だという牡牛座でもあるのです。

 ホロスコープ上の第二室に、モノや金銭、物質的な事柄が象徴されているということは、やはり実際に大事なもの、ある意味優先すべきものなのでしょう。 「霞や雲を食べては生きていけない」と言われるよう、確かに私たちは、実質的なものが、物質が、金銭がなくては生きていけないのです。夢だけでは、愛だけでは、お腹がすいてしまう・・・それを誰よりも理解しているのが、牡牛座なのです。

 現代社会は既に物質的に豊かです。不況と言えども、日本中にモノがあふれています。私たちは意識せずとも、安定した生活第一になっているような気がするのです。その中で、本当のお金の価値、モノの価値を見失っていないでしょうか? 「安かろう悪かろう」という発想は、経済理論上当たり前のことかもしれない。なのに「安くてよいものを」「付加価値を」と求めては、妄想をふくらませ過ぎてはいないでしょうか? 牡牛座の方というのは、こういう妄想におちいりにくい方々。まさに現実的。適職として、よく「公務員」が上げられる所以です。

 

守護星:金星

 太陽の近くにあり、およそ26~30日でひとつの宮を移動しますが、年に2、3回逆行するので、2ヶ月程度かかる場合もあります。太陽から46度以上離れることはないため、常に同一宮か隣の宮、その隣の宮に位置していることになります。公転周期は約225日。

太陽系において、金星は、水星と地球の間に位置する惑星。地球から見て太陽側にある内惑星であり、最も明るく輝いて見えることで知られ、「夜明けの明星」の異名を取るのがこの惑星です。

 ギリシア神話以前の中近東の他民族では、金星は戦争の神に結び付けられていましたが、ギリシア人が神話に登場するアフロディーテと金星を結びつけて以来、現在の象徴が定着してきたとのこと。

 日常的な解釈においては、芸術、センスをも表すものとされます。金星のシンボルマークが生物学上の雌メスを示すように、人においても女性、また、人間性における女性性を示します。一個人の、愛情傾向、異性関係、いわゆる恋占いにおいてカギになる惑星です。しかし、西洋占星術において、異性交遊は、一種のレジャー、歓喜と解釈されます。恋と結婚は別物であることに留意して下さい。

 金とは、得難い貴金属の金でもあります。富、財産についての暗示もこの金星で見ることができます。 

結婚、夫婦についてを見るのは、太陽と月です。富、財産についての暗示もこの金星で見ることになります。これには、金星が守護する金牛宮の要素が深く関わります。金牛宮の女性性、地象サイン、不動宮という三要素は、12宮の中で富を築くに相応しい最強の守りの姿勢をかもしだします。五感に優れた金牛宮は、時に贅沢、美食と過食に偏る傾向もあります。アフロディーテのアトリビュートは、りんご、バラ、鳩。

 アフロディーテは、多くの神々と情事を楽しむ女神でした。彼女は多くの子供たちを生み落とし、その子供たちの父親の数も子供たちの数とほとんど同じくらいだと言われています。

 エロス(恋の矢の射手)はゼウスの息子、火星の神アレースとの間にはポボス(恐怖)とアマゾネスの母ハルモニア、不恰好なプリアポスは、酒神ディオニュソスとの息子です。そしてヘルメスとの出会いからは両性具有の奇形、ヘルマプロディトスが生まれました。しかし、いつも彼女は鍛冶やの神ヘパイストスのもとに戻り、ヘパイストスはそのつど彼女を許したとのこと。ギリシア人にとって、愛は理屈ではないものだったのでしょう 

キーワード:美、金品、高価なもの、芸術、華、恋愛、快楽、社交、娯楽


金星の守護神:アフロディテ/Aphrodite、もしくはヴィーナス/ Venus

 牡牛座の守護神は、ギリシア神話では美と愛の神アフロディーテ。ローマ神話ではヴィーナスです。

    神話においては、牡牛座にまつわるエピソードが多く、金星を統治するアフロディテ以外にも、牡牛座に関連する神々が複数登場しています。

 「エウロペの略奪」もその代表的なエピソードのひとつを表した絵です。

 

神話に見る牡牛

  ギリシアのハルモニア地方の美しい王女エウロペを見初めた大神ゼウスが、白い牡牛と化してエウロペを連れ去り、エーゲ海上空を渡ってクレタ島に降り立ち、そこでゼウスはエウロペを花嫁として迎えたのでした。その際、ゼウスが姿を借りた牡牛は、天界に上げられ12星座のひとつに加えられたということです。


The Nymph Callisto on Jupiter's Chariot   https://www.flickr.com/photos/profzucker/7796684442

こちらは「ゼウスの戦車に乗るニンフ」なる天井画で、ゼウスの牛車として、牡牛が描かれています。ニンフのカリストが勢いよく引っ張られていくイメージです。ゼウスに御付きの牛がまた一頭いる模様です。

 ニンフ(妖精)のカリストは、山野で狩猟を楽しむ男勝りな存在でしたが、たくましくも美しい娘で、例によって、ゼウスの欲望の対象になってしまいます。その際、なんとゼウスは、カリストが慕う狩猟の女神アルテミスに姿を変え、目的を達したのです。カリストは男の子を産み落としますが、ゼウスの妻・女神ヘラによって、毛むくじゃらの牝熊にされてしまうのでした。哀れ、人間界に住むことはできず、山奥で暮らすようになったカリストが、ある日成長した自分の息子に山中でばったり出くわします。立派な青年と化した息子ですが、目の前の熊がまさか自分の母親と知るよしもなく、矢を射ようとした瞬間、ゼウスがこの親子を天に上げ、大熊座と小熊座にしたのでした。

神格化された土着の動物たち

 古代ギリシアでは、エーゲ海を中心にエーゲ文明が栄えますが、時代によって、さらにクレタ文明、ミケーネ文明、トロヤ文明と細分化されています。各地で、動物を神格化することについての考え方に違いがあったことがうかがえます。羊飼いの地では羊が、牛飼いの地では牛が、馬飼いの地では馬が崇拝され、それぞれの民が「欲望の運搬具」としての神を、身近な野獣たちに見出していたわけです。  

 クレタ島には、牡牛の頭をした神の話が崇拝されており、この神と、クノッソスに住むミノス王の妃、アリアドネが恋に落ちて生まれたのがミノタウロスという半身半獣でもあります。クレタ島周辺の神話においては、トロイの木馬に似たような神話に、馬ではなく牛が登場したりもしています。主に、神を乗せる戦闘機として牡牛が尊ばれていましたが、時と共に、馬がその役割に取って代わっていきます。「ちょうどアテナイ大国のマスコットが黄金の羊だったように、クレタ島における王権のシンボルが牡牛であった」と、ジェーン・E・ハリソン著、舟木裕訳のちくま学芸文庫「ギリシアの神々」の中では端的に語られています。

 

 さてさて冒頭で触れた「欲望の運搬具」とされた牛、牡牛に姿を変え女性を我がものとしたゼウス、 「所有物」がキーワードでもあります。財や金品など絶対的な価値あるものに魅力を感じ、目標にしたものはどんなに時間をかけてでも手に入れ、一度手に入れば二度と離さないのが牡牛座のスタイル。情熱のままにハンターと化す牡羊座とはそこが異なりますね。


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アルカナ「法王」に見られる牡牛座のシンボル

12星座では牡牛座に対応している「ウェイト版」第五のアルカナ「法王」・・・ここではちょっとひねりが入りますが、皆さんは如何に思われますか? 自由に感じ、ぜひご意見ご感想、フォームからお寄せいただければ幸いです。

牡牛座を構成するクオリティとエレメント

二区分は男性(陽性)、三区分は活動性、四区分は火の性質となる牡羊座です。

※ 二区分、三区分、四区分については購読会員専用資料参照のこと。

不動性というクオリティ

 古代ギリシア発の思想に由来した人間の気質を大きく3つに分類する考え方があります。気質とはクオリティとも呼ばれ、いわゆる人間性の質感を表すものとされています。人間を大きく三つに分類すると、活動=激しく動くタイプ、不動=動きにくいタイプ、柔軟=条件によって動いたり動かなかったりするタイプがいるわけです。

 不動性星座の牡牛座。確かに牛という生き物ひとつとっても俊敏な生き物ではありません。牛車は時間をかけて、のっそりのっそり進んでいく。一番手の牡羊に対して、お先にどうぞどうぞと余裕をかもし出しているのが牡牛座です。マイペースで落ち着いた安定志向。 長期戦に強く、また忍耐強いが腰が重たい傾向としても出るでしょう。

 一種欲張りさんでありながら、 保守的で、石橋を叩いて渡り、着実に一歩一歩ゴールを目指したい人で、「失敗したらまたやり直せばいい」という発想は苦手。そうならないように、時間をかけても間違いなく、確かなものを手に入れようとします。その意識が実直で真面目な生き方に反映されるでしょう。金運に恵まれていようと、一か八かのギャンブルは魅力的なものではなく、努力に見合ったものを自分の力で手にしていくのです。承認欲求も低め。地位や名誉に伴う生活力が本丸なのです。こうして、徐々に徐々に、確固たる社会的な立場を築きながら生活レベルを上げていく牡牛座は、自ずと社会的な信用を獲得するようになります。「あの人に任せておけば、大丈夫!」そんな組織やグループには必要不可欠な、相談役としての存在感をかもし出すことにも。紳士淑女的な振る舞いはどこに言っても定評です。

 人間関係はベタベタすることはありませんが、一度定着した感覚はほとんど変わらず末永く続きます。しかし、マイペースですから、忘れた頃にやってくるような連絡の取り方かもしれません。贅沢志向がバランスを崩すと、美食から過食へ偏りがちです。 

地というエレメント

   大地のごとく、地中のタネをじっくり育み開花させる縁の下の力持ち的な役割を担います。地に足をつけ、まず現実、生活ありき。「身体が資本」がモットーでもあり、健康志向で、美しさやメンテナンスにも投資を惜しみません。

 牡牛座については「金銭、モノ、生活、衣食住」とさんざん繰り返されてきましたが、そういう基本、ベースとなる土台があって城も成り立つというものですから、その土台作りの努力も惜しみません。単なる物質主義者ではありませんし、金さえあればなんて考えでも毛頭ないのです。短期戦にはめっぽう弱いですが、12星座一の長距離ランナー。確実な仕事の完成度を上げることについては牡牛座の右に出る者なし。

 大地に象徴されるように、大きくでんと構えている乙女座、山羊座も引けを取らず、ガンコな石頭を持ち、火や風や水をさえぎるのが確固たる地の使命ですから、これら3星座は皆外からの影響を受けにくく、曲がりにくい性質、不屈の精神性が特徴となります。活動星座の山羊座は、瞬間的に熱したり冷めたりと変動が激しく、柔軟星座の乙女座は、地の中でもさらさらと動きやすい性質も持ち合わせ、最終ゴールが変わっていく可能性がある人たちです。不動星座にして地象サインの牡牛座が一貫性に関してはNO.1でしょう。

 さて、「住居」と言えば、人が一生でする一番高い買いものかもしれません。世代を越えて受け継がれていく土地や建物、不動産に関する事柄とも結びつけれられる牡牛座です。物事ひとつ取って、その真価を認めるまで、なかなか信頼することがないかもしれません。社会で今どれだけもてはやされているようと、どんな評価を受けていようと、その物の「価値」を自分自身で確かめるまで、牡牛座は延々と時間をかけるでしょう。目や耳で実際に確かめ実感したこと、実際に体験したことで答えを出していくのが牡牛座です。そのために五感をフルに使うという使命を担っているのが牡牛座でもあり、視聴覚、味覚、嗅覚、感覚器官の働きに優れているのも特徴。ひとりよがりの感情にひたらず、忍耐強く、ひとつの事柄について正確な答えを導き出すことができるのです。
 気品や格調といった上質の美しさを求めるのが牡牛座の特徴。実直に、長持ちするアイテムを選ぶ傾向も強く、間違ってもケバケバと飾り立てはしないでしょう。

 中年期に入り、ある程度の地位や名誉を手に入れて落ち着くと、怠惰な生活におちいりやすくなるのが難点。食や買いもの三昧で多趣味にふけり、習い事のはしごをしては、ひとつもモノにならない高年期を過ごされる方もいるようです。持って生まれた審美眼と金銭感覚とを磨きつつ、常に上を目指す努力を忘れないことでしょう。

 

総括:牡牛座ってどんな人?

【金牛宮に太陽を持つ人 】主に4月21日~5月21日生まれの牡牛座のパーソナリティ

定位置:黄道12宮の第2室

守護星:金星

二区分:女性宮・陰性

三区分:不動宮

四区分:地の宮

 エレガントで安定志向ながらも贅沢志向。おっとりとしているが芯は強いと評価されることが多いようです。任されたことに必ず責任を持つ一方で、完成度を上げるためトコトン時間をかけるのも特徴。人と足並みをそろえようとはしないので、マイペースだと言われがち。モノに対するこだわりが強く、良質のもの・美しいものを好む。官能的でもあり、バランスをくずすと偏りが浪費やルーズなセクシュアリティへと流れがちだが、現実的なタガがはずれにくく安全圏をキープできる人でも。



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