大宇宙の心臓部をになう
12星座詳細・・第五の宮 獅子宮(ししきゅう)
古代エジプト伝来の王と王妃の星について
★古代エジプトにおいては崇拝の対象であったデカネート占星術では、第一室が獅子宮として頂点に配置されているチャートが用いられることもありました。(※下図参考:Amazonにて古代占星術/T.バートン 法政大学出版局)
獅子宮・・・獅子座の定位置であり、また宇宙の「心臓」を表す部屋。そう、心臓の構造を思い出して。(※参考: Wikipedia)12ハウスとはまさにチャンバーであります。
私たちは精神構造において、12の心室を抱く存在なのです。次の部屋から次の部屋へと、星を送り届ける重要なハウスの働きについて、ぜひとも時間をとってしっかり学ぶ機会をもっていただければ!
さてさて、獅子宮。ここに太陽が入宮している時期と言えば、ナイル川の氾濫の時期にも相当します。
古代エジプト人は川によって運ばれてくる肥沃な黒土なくして生活することは困難でした。
日本でも赤土、黒土、観ることができ、近所のホームセンターでも手に入りますね。園芸愛好家の皆さんは育てている植物に合わせてしっかり使い分けているのが常でしょう。赤土は関東ローム層の酸度がやや強めの土、なのに対して、黒土は植物の余分となる微生物と水分を含んだアルカリ性の土なのですね。
ざっくりと言えば一般的な観賞用の植物は赤土でOKですが、より栄養素を必要とする農作物は黒土が適しているというところがあります。古代エジプトにおいては黒い土壌はもう「豊穣」のシンボルでもあったでしょう。
四大文明屈指の農業大国としてもエジプト王朝は栄えていったのでありました。
余談ですが、園芸に興味を持ち始めた当初まず野菜の起源を調べたところ私たちの食卓に並ぶ身近な野菜の多くが「エジプト起源」だったことに驚いたものです。。
古代エジプトにおいては、ソティス(=シリウス※)が夜明けと共に地平線に登るようになる頃、ナイル川の氾濫が始まるという規則性が注目されたのです。
ナイル川の水量が最も少なくなる頃(5月頃)、ソティスは地平線から上に上がらず見えなくなります。
そして約70日程経つと再び、夜明けと共に太陽と同時に地平線に上がってナイル川の氾濫時期が来ることを告げるのでした。
※シリウスは、ナイル川流域で中心に考えられていた獅子座の星団に輝く最強の光度を放つ星であり、ナイル川が氾濫する予兆として、シリウスの上昇は古代エジプトにおける最大の関心ごとでした。
ソティスについて:
ソティスはシリウス星のエジプト名≪セペデト≫のギリシア語形である。
古代人たちは水がアフリカ中央部から来ていることを知っていた。太陽が黄道十二宮の蟹座(巨蟹宮)から獅子座(獅子宮)へ移行するとナイルの水がエジプトを水没させる。怒り狂った雌ライオンのように猛烈で荒々しい洪水は第一暴流を超えると静かに広がり、実りをもたらすものとなる・・・よき洪水は新年の幕開けとなる、イシス=ソティスは新年の星々である。
以上赤字部分:エジプトの神々事典/河出書房新社より引用
エジプト人は、毎年7月に表れるシリウスと共に、新年を開始したのです。
エジプト神と言えば、オシリスとイシスでしょうか。万能神オシリスの母であり妹であり妻であるイシスは、ギリシア人たちがソティスと呼んだシリウスと同一視されていました。
2人の子ホルスが月をつかさどる存在として人気を集めていました。
※エジプトの神々について読んでみたい方はAmazonへ★
獅子宮を定位置とする獅子座☉・・寄り添う蟹座☽
西洋占星術は古代ギリシア・ローマの神話と共に成熟したものですが、最重要事項のライツ/Lights=太陽と月、いわゆる西洋占星術的二大惑星の立ち位置が決まったのはむしろ古代エジプトなのではなかろうかとも。
王者の星=一者の太陽が獅子座に、王妃の星として夜の太陽=月が蟹座へと振り当てられました。
王と王妃は、父と母、2人の男女とも解されます。
ここから、各部屋の担当=他の10室の守護星も、順当に配置されていった話はもう周知のことでしょうか。
当初は主要七惑星とされる7つの星で占断していたので、12星座に対して対応がダブる箇所、水星と金星が守護する星座はそれぞれ2星座となります。
ハーシェルの天体望遠鏡発見以来、天王星、海王星、冥王星の3つの星を加えて主要十惑星となったときのこと、現在の星については講座で見ていきましょう。
下記、赤丸の太陽☉と月☽、それぞれの左右から☿、♀、♂・・・七惑星が各宮を担当します。
★古代人は宮を宿と呼び、その中にある惑星がその時々で異なる影響力を発揮すると考えられていた。(※下図参考:Amazonにて古代占星術/T.バートン 法政大学出版局)
星図のシステムとしては、やはり☉☽のライツ原理主義的な、冒頭で紹介しました、デカン/Decan占星術がほうふつとするところでもあります。
エジプト中王国(※参考wikipedia:エジプトちゅうおうこく :紀元前2040年頃-紀元前18世紀頃)ですでに崇拝の対象だったとされるこのデカネートにも諸説があります。
デカン占星術/Decanateのカルデア・システム
古代エジプト発祥の36個の恒星による占星術であり、第10王朝(紀元前2100年)の時代に登場したものとされています。基点をソティス(シリウス)とする各デカンには星と神々が対応しています。あるいは植物との対応表なども現存しています。
360度の円環において10日間ごとのシーケンスを考慮するという画期的なカレンダーでもあるのでしょう。
カルデア・システムにおける基点は獅子宮最初の10度のビナーにはじまり、コクマー、ゲブラー、ティファレト、ネツァク、ホド、イエソドらの7惑星という、生命の樹のセフィロトのマルクトからケテルの間に配置されている7つの惑星が順当に並ぶ仕組みとなっています。
冒頭にも紹介したように頂点に1室をもってくるシステムでは下記のようにもなります。春分点ゼロ度の一に自身の太陽宮を配置すると言うソーラーサイン・システムの所以も理解の範疇になるのでは。
★黄道十二宮と入宮惑星の格式について
ついでながら、宮と星の言って見れば相性関係も、抑えておくとよいと言われています。
私たちが時と場合により、様々な顔=人格を表出させるように、西洋占星学的な惑星にもその時その時、惑星が位置する場所によって際立つ性格があり、影響を与え合うものとされています。
各惑星の性格はその守護神に象徴されているものとなり、チャートの中での入宮状況によって変化することをおさえましょう。下記のように惑星にとって居心地のよい宮とそうではない宮があると解釈されています。
惑星は自身の定位置に居るときに、最も魅力と長所が際立ち、なおかつ威厳があると考えられています。一方でその対角の宮では勢力がありません。
- 盛/ Dignity :ナチュラル・ハウスの定位置
- 敗/Detriment: 定位置の対角に位置する宮
惑星にとって自然体で楽に機能しやすい宮がある一方で、試練を感じる宮もあります。最悪の場合不利益が生じるような状況下で、惑星は本来のあり方とはまた異なる力を発揮しようと成長するとも考えられています。
- 興 or 高揚/Exaltation: 相乗の宮
- 衰/Fall : 相乗の対角の宮
興or高揚/Exaltationについて Wkipediaより
7惑星のそれぞれが高揚する位置
太陽:白羊宮19度(18°00'-18°59')
月:金牛宮3度
水星:処女宮15度
金星:双魚宮24度
火星:磨羯宮の28度
木星:巨蟹宮の15度
土星:天秤宮の21度
高揚は、ノースノード(双子座の3度)とサウスノード(射手座の3度)にも起因するとも言われています。
これらの位置は、アル・ビルーニーの11世紀の『占星術の要素に関する指導書』など、中世初期のアラビア時代の占星術のテキストに由来するとされている。現代のヴェーダ占星術師はノードの高揚位置に重要性を置いている。インド占星術師たちは、太陽、木星、土星の度数の位置について意見が一致せず、結節の高揚を認めなかったことも指摘されている。
高揚は、古代メソポタミアの占星術で使用されている。フランチェスカ・ロッホベルクは、このシステムのルーツは紀元前2千年紀にまで及ぶ可能性があると指摘している。中王国時代のテキストで崇拝された古代エジプト人特有のデカン、バビロニアの占星術テキストの「秘密の場所」、ヘレニズム占星術の対応との関連が指摘される。
デカンのパターンは一致しており、4つの惑星の高揚のパターンを説明しているようです。ロバート・ハンドが言ったように、寒い山羊座の活発な火星の高揚など、一貫性を持って説明することがほとんど不可能となっている。
以上、青字部分はWikiの直訳です。ここからが学びと研究です。
以上、 獅子宮に関連する占星術の基本情報をお伝え致しました。まあ色々そうですね、国内のサイトばかりでなく、海外のサイト検索したり訳したりしてみてください。まだまだ研究課題が山積です。
春分点を0度と定め、第1室をおひつじ座の白羊宮で開始するシステム以外の諸説にも親しんでいただければと!
12星座詳細 第五の宮 獅子というシンボル
先回、水辺の生き物が登場し、陸海空を統治する3種の生き物と人間が出そろいました。ここでまで肉食獣に戻り、獅子の登場です。獅子は、古今東西で百獣の王という地位を獲得した最強の生き物、王者、王権の象徴でした。力において人間を超越した聖なる存在として崇められ、古代エジプトにおいては、王の墓ピラミッドの前にスフィンクスの像を建て、その神的パワーの恩恵に授かろうとしてきたのです。
スフィンクス もしくはスピンクス(Sphinx)は、タロットではおなじみのシンボルですね。スタンダードなタロットでは第七のアルカナにスフィンクスが、また第八か第十一のアルカナには「堅忍」の象徴札としてその絵柄に獅子が登場しています。
マズル・コントロールがテーマとなるウェイト版。動物の親が子どもの口を噛んで社会性や強弱関係を教えるところを人間の手で行い噛み癖がある犬をしつける時に使わせる手法ですね。
あなたのワンちゃんがマズル(口先)を触らせないのは、あなたに常にマウントしようとしていることの表れ。いきなりこれを犬の前に行ってやろうとすると噛まれる危険がありますからね(>筆者経験済み)、まずワンちゃんの後ろに立つ。首前あたりをそっとなでなでしながら、そのまま手を口元に移動させて口を抑えましょう。マウント傾向強いとがぜんいやがります。最初は数秒、だんだん長くして一定時間(トレーナーさんのお勧めで)口を抑えたまま軽く動かせるようになると、従順性が育つようになり、反抗して噛んでくることもなくなってきます。
飼い主としてはしつけで支配性を見せるわけですが、犬がそれを「攻撃」ととってしまうことで噛みに出てくるわけです。犬が進んで従おう!と思ってくれるような飼い主さんになる近道みたいなものですね。
余談ですが、初期のマルセイユ版には純粋に戦闘車を引く「馬」が描かれていました。
上)下段右端がフランス国立図書館のノブレ版の「戦車」。 下)復刻版ノブレのマルセイユ版「戦車」
ウェイト版は上のエリファス・レヴィ (1810 - 1875 wikipedia)が描いた「戦車」の影響を受けているとも言われています。スフィンクスというより人面ワニだかサンショウウオのようでちょっと這っているいる感が。確かに「戦車の車体前面」にウェイト版にも見られる有翼の太陽円盤ありますね。
※レヴィの和訳書に興味がございましたら!
スピンクスは、エジプトに発祥した神話上の生き物、架空の聖獣です。クフ王のピラミッドの前に、守護神として奉られているカフラー王の頭と獅子の胴体を持ったスピンクスなどが有名でしょう。古代エジプトにおいて、人々は、既に人間に勝る力をそれぞれの生き物に見出し、神的対象として崇め奉る慣習がありました。百獣の王の異名を持つ獅子、雄々しいたてがみをなびかせる獰猛な生き物を、王家の紋章や守護神に相応しいものとして取り入れたエジプト人たちの感覚は、現代に生きる私達の中にも備わるものといえるでしょう。(以上 タロット象徴事典より)
下)現存する最古のタロットヴィスコンティ版の「力」。イエール大学蔵
右)イタリアILMeneghelloの復刻タロット
「堅忍」という美徳の擬人像が描かれています。
大変美しい黄金のたてがみの獅子が見られますが、獅子は猛威を振るう存在ではなく、王冠をかぶった女王か王妃にマズル・コントロールされているのか、サムソンにちなんだ構図として描かれたものなのかは不明。
サムソン:旧約聖書の士師記に登場する怪力。wikipedia
古来、獅子は羨望の対象でした。 世界の至る所で人々が畏怖し崇める獅子。太陽=一者の神と同一視され、 太陽神とも結びつけられるようにもなりました。
獅子座もスポットライトを一身に浴びることを好みますが、たった一つの主役の座ばかりをねらって、脇役をきらうため、実際にステージに立つ回数は意外に少なくなります。また、王者のプライドが邪魔をして、人づきあいもこじんまりとしがちで、意外と華やかなシーンから遠ざかり、孤高の存在と化す獅子座さんも多いものです。
協調性に乏しく、尊敬する上司でなければ従えませんから、組織に入るより自営業が向いているとされています。階級意識が強いので上下関係にはうるさく、自分の配下の面倒見はよく、親分肌を発揮するのが特徴です。
■獅子宮を定位置とする獅子座について
獅子座の部屋は黄道12宮を表すホロスコープの 五番目の宮、第5室です。
各部屋は均等に30度の幅をもって並んでいますね。同じ 星座でも0度から29.9度まで、生まれた日によって度数が変わり、これだけでも結構な違いを読み取ることができるところともなります。
黄道12宮上、第5室が獅子座の定位置です。個人の「娯楽の部屋」とされています。獅子座は、人生をエンジョイし、あくせく働くだけで終わらせまいとします。ゆったりとした心地良さを追求し、ラグジュアリーに暮らすことを好むのです。華やかなパーティーや観劇を好み、ギャンブルに興じることもあるでしょう。高級品、ブランド品を好んで身につけ、生活感のあるものやチープなものを好みません。日常的には、豪華一点主義的な傾向としても出るでしょう。
天真爛漫さの象徴でもある太陽が司る獅子座は、永遠の少年/少女だったり、いつまでも「青さ」が消えない傾向があります。どこか子どもっぽく、甘えた印象を引きずるところがあります。
権威、権力に魅力を感じ、肩書きに一目置くようなところがあります。伝統があったり、ネームバリューの高い大企業に身を置き、尊敬する上司の下で、忠誠を尽くすというケースもあるでしょう。
■黄道十二宮における第5室
黄道12宮の第五の宮 、すなわち第5室が獅子座の定位置であり、個人の「娯楽の部屋」とされています。
先回の第4室は家庭=生活感のある日常であるのに対して、ここは非日常です。生まれた家でのこととは、いわば日常生活。対して、非日常的な生活を表すのがこの位置です。
月曜日から金曜日までのウィークデイを過ごした後、私たちがしばし日常を離れようとするように、第五の宮はウィークエンドの象徴。 週末の過ごし方が象徴されるハウスなのですとも言えるでしょう 。
幼少期を過ぎた少年・少女時代をも表すとされます。
第5室はギャンブルの部屋などとも端的に言われます。今問題になっているギャンブル依存について、何か役に立てることが見出せるかもしれません。たとえばお酒や食、薬の依存症というものもありますが、これらは実際に人の身体の中に入り込むもの。身体の細胞の隅々に行き渡って、身体がそれらに浸かってしまう、おぼれてしまうわけですが、他方ギャンブルのどういう要素に人がおぼれてしまうのか、その人の5室の状態を深く分析することで何某か見出せるかもしれません。チャート研究を役立てられればと切に願っております。
■獅子座の守護星:太陽
左)フランス国王 太陽王ルイ十四世の紋章
右)18世紀プラハの家屋に飾られたBlack Sun は錬金術における黒い太陽に相当し、太陽の暗い破壊力を象徴している(参考:サイン・シンボル事典)
太陽を見上げ、古代の人たちは何を感じ、思ったただろうか。温度を持った目映い光線は、明らかに星や月とは異質でした。その熱は地上のあらゆるものの滋養であり、天からの恵みであったはずです。光を浴びる事、ただそれだけで彼らは歓喜したはずです。生きていることその物に望みを見出し、未来への希望が感じられたことでしょう。
古代において、太陽の神の系譜、そして、最古の文学とも言える神話体系を確立したのがエジプト人です。
史上初の王制国家を成立させ、国王ファラオは、太陽神ラーと同一視されました。ラーは、当初は、天体その物を差して呼ばれていましたが、次第に太陽と結びつけられ、ラーが主人公である太陽神話体系が確立します。太陽は、エジプト人にとって天空の一部、即ち神の身体の一部、ことに「右目」であるとされ、エジプトの王ファラオは、ラーの息子であると自称したのでした。後に、創造神アトゥムと合体し、アトゥムは沈む太陽を司ることになります。。複雑ですね。
紀元前5000年頃に、エジプトでは氏族と一定の動植物との間に血縁があるとするトーテミズム totemism が発生しています。 「自然に囲まれ、自然に依存していたエジプト人は、宇宙の構成要素と現象のすべての中に、何よりも、大地、空、空気、ナイルの流れ、そして太陽と月の中に、神が宿っているのを見た」のでした。
そこでは、太陽が昇る東に対して、西は命の没するところとして、死者の身体は必ず頭が西になるように配慮されていました。死後の世界を信じ、太陽に神の力を見出し信仰の対象としていたと言われるエジプト人ですが、果たして彼らは、太陽神の存在、死後の世界を「信じた」のでしょうか?それは、あまりにも彼らにとって「当たり前」のこと、信じるに及ばないことではなかったように感じられます。 紀元前2000年頃から、メキシコ南東部、グアテマラ、ユカタン半島などを中心として栄えたマヤ文明、その影響を受けたアステカ文明においても、太陽は神と見なされ、人々はその大いなるエネルギーの支配を受けるものとして彼らの宇宙観は確立されました。
ヘロトドスの名句「エジプトはナイルの賜」の通り、ナイル河流域は肥沃な農耕地帯であり、食肉とする動物も豊富に生息していました。人々は灌漑農業と堤防を作るために自然に群れをなし、共同で作業をするようになり集落、組織が発生したのです。
そして男性は、外へ出かけ狩りをし、女性は家を守り、子供の養育や農作物の育成に努めるという構図をかいま見ることができます。毎日が、朝目覚め夜床に就くまでの24時間が、彼らの死活問題その物だったことでしょう。春や秋の温暖で過ごしやすい日ばかりではありません。獲物を収穫できない日が続いたり、寒空の下でいつ降り止むか見当もつかない雨や雪に身を震わせながら、当時の人々はどんな思いで天空を仰いだことか。
太陽の熱と光は神々しい霊と肉と魂の滋養であり、朝に神との対面を果たせることで、人は幸せを実感したのではなかろうか。当時より、生きることとは命懸けであること。生まれてきたことについて、与えられた環境と先行きの不透明な人生について、太古に生きる人たちは答えてくれる存在を求めたのです。今を生きる私たちと同じように、彼らが創造した神とその秩序に従って、男女は愛し合い子を産み育て、知恵や技術を後世に伝えていく、その連鎖を今日まで支えてきたのが、この太陽であることをも忘れずにいたいものです。
現代でも元日の朝日は尊ばれ、参拝と祈願の対象とされているこの事実。オリエント Orient即ち「日が昇る方向」は、古代ローマ人たちが地中海東岸一帯を指したことばですが、このオリエントの文化、思想は、対するオキシデント 0ccidentに位置する西洋人たちの意識にコンプレックスを生み出したとも言われます。
■獅子座の守護神:アポロン/Apollōn、Apollo
オリュンポスの大神ゼウスと大地の女神レトの子どもがアポロンもしくはアポロです。レトは正妻ヘラの嫉妬と怒りを恐れて、デロス島 に逃げこみ、そこでアポロンとアルテミスという双子の兄妹を出産したのでした。双子のひとりは太陽を、もうひとりは月を統治することになったのですが、たちまちにアポロンはギリシアにおいて超人気を誇るのでした。
原書房「ギリシア神話物語事典」によれば、「ギリシアの神々の中でアポロンはギリシア人の理想に最も近く、永遠の若さを備え、戦いに強く、温かい心と冷静な頭の持ち主だった・・・常に中道を説き、過度をいましめた」
節度を説く一方で、愛において奔放なことをアルテミスから指摘されると「節度自体にも節度を説いているんだよ」と切り返すユーモア。多産なゼウスが多くの産み落とした彼の子どもたちの中で最もアポロンを愛したわけです。
アポロンとムーサ(ミューズ)たち wikimediacommons
人間の頭脳と技術の分野で言えば最高峰の医学と、五感と繊細且つ豊かな感受性とが織りなす音楽とを共に司る万能神。オリュンポス一の弓矢の腕を持つ負け知らずの人気者、絶対的な地位を誇るアポロンは、 勝利の象徴である月桂樹の王冠を頭部に抱いた姿で描かれることが常。現在でも四年ごとに開催されている世界オリンピックの舞台で、月桂冠は勝利者の頭上に捧げられています。
「詩人のインスピレーション」 ニコラ・プーサン、1630年頃、ルーブル美術館
アポロンは、竪琴を手にした姿でも描かれます。異母兄弟であるヘルメスが、アポロンの牛を盗み食してしまった時に、ヘルメスが瞬時にして亀の甲羅で作った竪琴を差し出してアポロンのご機嫌を取ったため、そのお返しに羽のはえた杖を譲り渡したと言うエピソードがあります。この穏やかで調和的な性格から、ギリシアにおいては類い希なる人気者でした。
アポロンの聖木が月桂樹となったいきさつは、ニンフのダフネとの恋が破れたエピソードに由来します。
弓矢のアトリビュートでお馴染みのエロースをからかったことがきっかけで、エロースは自ら作り出した恋をそそる矢をアポロンに向かって放ち、もう一本の恋をはねつける矢を美しいニンフ・ダフネに打ち放ったのです。前者は黄金でできており、鏃は鋭く尖っていました。そして後者は鏃も鈍くしかも鉛でできていました。
Piero del Pollaiolo ポッライウォーロの「アポロンとダフネ」 (1441-1496) wikimediacommons
矢が刺さったアポロンはダフネに恋をし、ダフネはアポロンを拒み続けます。しかも、ダフネは女神アルテミスを信仰する貞淑な処女。アポロンの男性的な欲求は、ダフネにとって飢えた狼そのものです。逃げまどうダフネに、恋心が満たされぬアポロンも嘆き苦しみます。「ゼウスという絶対神を父に持ち、デルポイとテネドスの都を治める王者だというのに、現在も未来も知ることができる予言者でもあるのに、歌と竪琴の名手であり、医術を司る自分だというのに、どんな薬草も癒すことのできない病にこの自分が苦しんでいるとは......!」
結局、ダフネは、彼女の父親の河の神ペーネイオスに救いを求め、月桂樹の姿に変えられることで、アポロンから処女を奪われることから逃れます。胸はやわらかな樹の皮に、髪の毛は木の葉に、両の腕は小枝になり、大地に足を根ざして、ダフネは月桂樹と化してしまいました。アポロンは、彼女をを妃にすることができなかったが、自分の聖樹とし、永遠の若さの象徴とすることをダフネにに約束したのでした。
矢が刺さったアポロンはダフネに恋をし、ダフネはアポロンを拒み続けます。しかも、ダフネは女神アルテミスを信仰する貞淑な処女。アポロンの男性的な欲求は、ダフネにとって飢えた狼そのものです。逃げまどうダフネに、恋心が満たされぬアポロンも嘆き苦しみます。「ゼウスという絶対神を父に持ち、デルポイとテネドスの都を治める王者だというのに、現在も未来も知ることができる予言者でもあるのに、歌と竪琴の名手であり、医術を司る自分だというのに、どんな薬草も癒すことのできない病にこの自分が苦しんでいるとは......!」
医者であり詩人であったスコットランド人のヂョン・アームストロング(1709-79)による、アポロンについて述べた文書があります。
音楽はすべての喜びを高め、
すべての悲しみを静め、
諸病を追い払い、
あらゆる苦しみをやわらげてくれる。
そしてそれゆえに、
古の賢者たちは
医薬と音楽と詩歌との
不可分の力を崇拝したのだ。
最後に今後の占いの園芸の講座で取り扱い予告。。
■獅子座のハーブ(薬草・香草):月桂樹(ローレル)
黄色のボール状の花をつける常緑高木樹。万能薬とされ、インスピレーションを呼び覚まし芸術的才能の開花を促す花木だとも伝えられています。この葉で、オリンピックの勝利者の頭を飾るリースを作ることは有名でしょう。
消化促進、強壮作用に優れたメディカルハーブとして、古くから日常生活に取り入れられています。現代においては、肉料理、魚料理と相性のよいキッチンハーブとして、日頃から常備している方も多いことでしょう。まさにオールマイティで、日常に光をもたらし、人の心を明るくする元気が出るハーブです。
ギリシアにおいて、天界の若きヒーロー万能神アポロンをこの月桂樹で飾るようになったのでした。
さてさて獅子座の正体、いかがでしたでしょうか?
もしかするとあなたの隠れ星座が獅子座かも?
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