Episode 09:パメラと旅の一座

パメラ

天才奇術師 ブルーノ

ブルーノ一座の歌姫 フェリシア

リュート奏者のアラン

曲芸師のアンディ

奇術師見習いのエル
落ちたのが街中の大道芸人たちが集う広場のテントだったのが幸いで、パメラはテントにワンバウンド!
次に近くのほろ馬車のほろがクッションになって彼女を包み込んでくれたという次第だが、馬車の中にいた持ち主が黙っているわけがなかった。
「な、なんだあァ? おいおい、お前どっから来た?」
パメラの手を取って無事に引き下ろしてくれはしたものの、折れたほろの骨組みとパメラを交互に見ながら、二十かそこからの青年がわめきちらしている。
赤と青のツートンカラーが風変わりなパフスリーブ、ブロンドの巻き毛にメイクをほどこすという、少々一般人とは一線を画する彼。商売人か、役者でもやっているのか、ならばそれなりに愛想もよかろうはずだが、この期に及んで本来の気性の荒さが出てしまっているというところだろう。
「すみません......」
アパートの階段から落ちた時よりははるかに衝撃も痛みも少なかったが、この展開はあまりにもショッキングすぎるだろうと、腕をさすりながらその場にへたり込むしかないパメラだった。
「ブルーノ、どうしたの?」
仲間らしい若者たちが集まってくる。多く皆、さっきの青年同様に派手な衣装に身を包んで、マスカラや頬紅をほどこしている。
「どうもこうもねーわ、見てくれよこれを! 休憩は台無しにされるしよぉ」
「わー折れちゃってる!」
「この子がやったの?」
何人かの若者たちに取り囲まれ、やんややんやと問い詰められて、パメラは自分の名前と、自分の身に起こったことをすべて伝えるしかなかった。
「要約すると、アパートの階段から落ちて、気が付いたら天使と空を飛んでいて?」
「エジプト上空まで行ったところで―」
「いきなり天使に落とされたと」
「ていうか、ことばが変! ねえ、ブルーノこいつただの酔っ払いじゃないの?」
パメラを中心にして円陣を組んでいる多く十代前半か後半と見える少年少女たちがおもしろおかしそうに彼女の話を繰り返す中、ブルーノと呼ばれている青年は、ややめんどうくさそうではあったが、彼女に一定の気遣いを見せるのだった。
「夢と現実が錯乱しているんだろう...打ちどころが悪かったのかもしれない。『人買い』から逃げてきたなんてところなんじゃないか? 三区あたりには中東からの移民が流れこんで荒れてるらしい」
ああ―という声にならない共感でその場の皆が一致を見せる
「そうなんだろう?」ブルーノはもうそうに違いないという
「......そうね、はい、異国から来たってことには、なります」
「人買いにつかまっちゃったのね!」
「そうね、なんだか妙ちくりんな服装だけど、見世物【みせもの】小屋なんかじゃ需要がありそうだわ」スラリと背の高い、目鼻立ちがハッキリした少女に見つめられて、パメラは妙なつっかかりを胸に覚える。
(顔立ちの端正なこと...いや、それ以外に何か......この人私どこかで......?)
「そうなんだろう?」ブルーノはもうそうに違いないという
「......そうね、はい、異国から来たってことには、なります」
「人買いにつかまっちゃったのね!」
「そうね、なんだか妙ちくりんな服装だけど、見世物【みせもの】小屋なんかじゃ需要がありそうだわ」スラリと背の高い、目鼻立ちがハッキリした少女に見つめられて、パメラは妙なつっかかりを胸に覚える。
(顔立ちの端正なこと...いや、それ以外に何か......この人私どこかで......?)
「そうね、なんだか妙ちくりんな衣装だけど、見世物小屋なんかじゃ需要がありそうな子よね」
「わるいが俺ら忙しいんで、とりあえずあんたのことは見逃すから、はやくどこへでも逃げていってくれ」
言われてパメラは立ち上がろうとしたが重心を保てずによろめく。
「大丈夫?」と、近くにいたパメラが見上げてしまうほど長身の少女が手を添えて支えてくれた。スラリと伸びた腕から手先まで、なんて白くて美しいのだろうとこんな状況ながらパメラがまた例によって引かれてしまう―まばたきすれば音がしてもいいくらいの長いまつ毛のむこうには深海色の大きな瞳が濡れ輝いている。小さく整った鼻すじに続くぽってりとしたバラ色のくちびる......口角を上げたところにえくぼを作ってほほ笑む―って本当に地上の人? 天女か女神が落ちて来ちゃっただけなのでは?
パメラはまたぶるぶると首を振って思念を振り払う。
「ありがとう......ここは、どこかしら、駅まではどのくらいかしら?」
「?......ここパリだけど......エキって何?」
パメラはギョッとした。
「どっちにしたって今日はフランス中が祭りなんだぜ」
「どこもルイ王即位の記念行事で混みこみでしょう」
「わずか4才の国王誕生! って、見てみたいわ~可愛らしいことでしょうね」
女子たちがキャッキャッと盛り上がる。
我にかえったパメラの耳ににぎやかなマーチだろうか吹奏楽が響き渡り、目には見渡すばかりの人いきれが飛び込んでくる。
まさかのフランス?
広く見渡せる公演の真ん中にはポールがたち、たなびく旗は......トリコロールのフランス国旗! その下にあるもうひとつの旗には見慣れぬ文字が刻まれている。
文字列についてはまったく判断がつかないが......
Louis XIV=ルイ14世だろう......つまり、ここは17世紀のフランス―
ああ、これも夢だと、誰か言ってちょうだい! もはやパメラは焦燥感に気が遠くなるだけだ―が、しかし裏腹に、行き交う人々は誰もかれもが満面の笑顔で、小さな人の群れをなしては浮かれ騒いでいる様子だ。そこここに行商人やら出店やらが見え、所々に大きなテントが点在している―中で芝居やサーカスが繰り広げられているのだろう―青い空に時折甲高い声野鳥の声が突き抜けていく。
これは確かに見慣れたロンドンの光景ではありえない―もちろんパメラとてロンドン中を熟知しているわけではないが。
「よーし、ほらほら」とブルーノが派手に手を叩きながら大きな声を出して集まっている若者たちに呼びかけていた。
活舌(かつぜつ)がよく、よく通る声のせいか、皆が彼に視線を注いで集中している。「みんな持ち場に戻って。今日のピークはもう過ぎたが、あとは日が暮れるまでの勝負ってことで、続けてくれや」
(さっきは荒馬のようだったのに、急に好青年になって! にしても、ここにいる子たちはみんな彼のことをずいぶんとしたってるのね)
「フェリシア、あとは任せるわ」ブルーノは長身で細身の少女に言い残すと他のみんなと散っていった。
「Oui(はい)!」
時々耳慣れないことばを口にするが、集まっていた者の中では若干大人びていてリーダー格らしい彼女にうながされるまま、パメラは馬車の荷台の淵に腰を掛けるのだった。
ふとフェリシアがきびしい口調で問いかけてきた。「もしかしてあなた、どこかの一座のスパイってことないわよね?」
パメラはぶるぶると首を振った。
「そうよね、スパイがこんな目立つ服は着てこないわよね......まあ可愛いっちゃカワイイけど。ほら、ここから、みんなの出し物が見えるわ......私たち旅をしながらパリじゅうを回っているのよ」
「わぁー」
道化に球乗り、楽器奏者たちに少年少女―赤や緑や黄色のボールが飛びかい、商売熱心に営業中といった一座の前にはかなりの人だかりだ。
さっきのブルーノが小さな折りたたみテーブルを広げると、ドッと観衆がわく。皆待ち構えていたようだ。
なるほど、彼の手品は素早く、まるでスキがない。卓上で様々なものをティーカップや帽子に入れては消してしまう。
側で、キャンディの包み紙のようなカラフルな衣装で着飾った少年少女たちが球乗りを始め、時々ブルーノにボールを投げると、彼の手の上でそれが次々に花と化すので観客の層がみるみるうちに厚くなっていく。
合間に、双子のように顔恰好がそっくりな道化が2人、球乗りをしながら登場すると、バトンやボールをジャグリングしては、片方の女の子がおもしろおかしく失敗してみせる。観客の笑い声に徐々にパメラの焦燥感も次第に薄れていく。
「これはホントに近世フランスね...あたしホントにタイムスリップしちゃったんだ...」
ついパメラが口走ると、フェリシアがけげんそうな顔つきをする。
「あなたのことばすごく変わってるんだけれども、言っていることはちゃんと理解できるの......それがすごく妙だわ。あとその服も......見たことがない。最近パリの三区あたりに中東からの移民が続々と入ってきているらしいけど......あなたもそうなの?」
「......そ、そうね...はい...異国から来たってことには、なります」
「そう、それで人買いにつかまっちゃったのね」
観客のどよめきにパメラが目をやると、ブルーノが道化から渡されたボールを五つ、次々に帽子に入れては消し去ったかと思うと、その帽子から鳩を取り出して見せていた。
それからブルーノは、観客の一人、こじゃれたドレス姿の婦人の首元に光る一連の真珠を見つけて、それを貸していただけませんか?と身振りで問いかける。
ためらいながらも婦人が首から外して、駆け寄った道化姿の少年にネックレスを渡し、それがまた少年の手からブルーノへと渡ったところで、彼は帽子の中にネックレスを入れては、またしても帽子を空っぽにしてしまうのだった。
「私の真珠!」声高に表情を曇らせる婦人に、ブルーノがハンドバッグを見てとジェスチャーでうながす。
婦人が手にしていたハンドバッグを開けると、「まあ!」とそこからさっきのネックレスを取り出すものだから、観客はもう拍手喝采。
ブルーノが帽子を持って観客を回ると、小銭や紙幣で帽子はみるみる内にいっぱいになる。待ち構えて花を渡す若い女性もちらほらで、ブルーノはそんな女性たちにウィンクを飛ばし握手にも応じたりとファンサービスにも余念がない。
「ブルーノは、ここいらじゃ天才って呼ばれてるのよ」と得意げになるフェリアシがふいにいいだした。
「ねえ、パメラ! あなたのそのドレス、ちょっと貸してくれない?」
「え、私の服を?」
有無を言わさずパメラはその場で何とフェリシアと着ている服を交換させられてしまった。馬車の影とはいえ、多少は周囲の人の目があるのもお構いなしに下着姿になって、その場でパメラの緋色の服を身に着けるフェリシアにパメラが赤面する......サイズ的にフェリシアの着物はダブダブだし、身長さがあるフェリシアのほうではほぼつんつるテンといった様子だが......むしろフェリシアはもっと胸元を開けて、スカートのすそもたくしあげ、惜し気もなく大胆な脚線美をあらわにしたているではないか。
「どうお? カッコいいでしょ!」
「いや、ちょっと待って......なんか羽織ったほうがいいわね」
「せっかく大サービスで露出してるのに、それじゃ意味ないじゃない」
「うーんエロスは強調すればいいってものじゃないわ、んと、透け感がある羽織ものがいいと思うの......レースとか」
「......オーガンジーのヴェールがあるけど」
フェリシアが自前のヴェールをもってくると、パメラがそれでフェリシアをふわりと包み込んで、腰のあたりと肩のまわりをピンで留めてみる。
「ほら、このほうが気品があるわ!」
察しのよい一座の少年のひとりが、ヒューっと口笛を一吹き。見れば吟遊詩人風にリュートを抱えて、すでに観客の前に躍り出ていた。
「さあ、ブルーノ一座の歌姫の登場だよ!」
少年がかき鳴らすリュートに合わせてカナリアのように歌うフェリシア。
「......ああ、これはアーサー王伝説の、王妃ギネヴィアの恋の歌ね......!」

「......ああ、これはアーサー王伝説の、王妃ギネヴィアの恋の歌ね......!」
間奏のダンスでフェリシアは女神になる――めぐまれた八頭身のしなやかな肢体が回るたびにつややかな長い髪とヴェールが広がり、ともし火のような緋色のドレスと王妃の情念が重なる―美しい亜麻色の乙女に誰もがくぎ付けになっている。
緩急たくみなリュートの音色がまた聴く者の心にもっともっとと揺さぶりをかけて、王妃の悲哀を歌い上げる。
(う...うまい! こんなに速く弾ける人を見たことがない。すぐにでもライシーアムに入れるわよ)
誰もが息をするのも忘れているのか、あたり一体が静寂に支配され......ほどなく、演目は終焉。彼らは晴れて喝さいを浴びるのだった。
「Merveilleux(すばらしい)! さすがにうちの看板女優だ」座長のブルーノからも絶賛され、フェリシアもご満悦。
「ありがとね、アラン!」そう言ってリュートの少年にキスしているフェリシアにパメラが思わず駆け寄っていた。汗ばんだ熱気に包まれながら、無遠慮にもフェリシアを強く抱きしめてしまうパメラ。
「ブラボーだわ!」
「なにそれ?」
「素晴らしいってこと!」
「あなたにも芸術家魂がわかるのね」右手でリュート奏者のアランの肩を抱いたまま、フェリシアがもう片方の手でパメラを抱いて嬉しそうに言う。
「ええ、あたしは画家ですから!」
「ワオ、それじゃあぜひとも私を描いてちょうだい!」
「かなり創作意欲を搔き立てられるわ、あなたの歌や踊りは」
「......ねえちょっと近すぎだよ」長身のフェリシアよりやや小柄で、彼女の弟みたいな存在なのだろう、アランは恥ずかしがって肩にまわされたフェリシアの腕をほどいている。
「いいこと、アラン? この仕事にマンネリは大敵なの。出し物は常に磨きをかけて、常に新しさをとり入れていないと......色一枚で変わってくるって、見せ方次第ってこと」
「わかったよ......」アランは恥ずかしがって退散してしまった。
「ああパメラ、あなたのドレスには大感謝だわ!」
(確かにその服は、1970年代ロンドンのファッションなのよ......)
弾みがついたブルーノの一座にこの日は観客が途絶えることなく、彼らは無事に日没を迎えた。辺りがすっかり暗くなるころには、皆といっしょにパメラも馬車に揺られて彼らの野営場に向かうことに―。
パメラは違法人身売買の追っ手から逃げているワケあり&打ちどころがわるかった半ケガ人ということもあり、しばらく一座で面倒を見ようということになったのだ。
ほろ馬車の破損については後日、何とか修理しようということになったあとはもう誰も触れることはなく、ただ彼らの野営場にたどりつければ、誰にとってもそれでよかった。パメラにとってはもうこのわけのわからない状況下で、食事と寝場所を提供してもらえるなどということは九死に一生を得たも同然。
「わたしたちは家族じゃないの。他人同士の集まりよ、あ、アンディとアンナは兄妹だけどね」そう道すがらフェリシアが教えてくれた。
見れば仲よく寄り添い合ってひざをかかえているアンディとアンナがニッコリとパメラに微笑む。よく似た顔つきをして、服装も男女差がないそろいのチュニックだ。が、兄のアンディがパメラに手を振ると、妹のアンナが不機嫌そうに首を振るので、アンディは肩をすくめておどけて見せた。
(みんなきっと仕事柄なのね、明るくて愛想がいい......球乗りの曲芸のときも息がピッタリで双子かと思ったわ......こと、この2人は顔立ちがきれい!いっそ双子の曲芸師で売りだしたらいいんだわ)
森の奥まできたところで、今日はここで一夜を明かすという―。
常に指揮をとっているブルーノとフェリシアが年長者として、皆の父母代わりを務めているというところなのだろう。とは言え、この2人だって子供がいる親にはまだちょっと見えない......若者だけの集団だが、一座のみんなは食事の用意も後片づけも手際よく素早く、これもまたひとつの芸当でもあるかのようにこなしていくではないか。
何かが足りないとか誰かが間違えたとか、そんなことは直後になかったことにできるのだ。
「それじゃ今日の当番はエルとブリジット、2人で頼むわね」
「私もいっしょに水浴びに行く!」
「パメラも、行きましょうよ」
キャンプというよりは一時避難でもしているかのようにいかにも適当なパンとスープをふるまわれたあと、洗いものを持って近くの川辺に向かう少女たちといっしょに他の女子も皆連れ立って行水をしにいくというのだ。
静かにリュートの音色が流れてくる。おやとパメラがおどろくと、なぜかアンナが得意げになる。「アランが見張り役をしてくれるのよ!」
なるほどリュートの練習を兼ねて......どうやら彼女たちのあとから距離を置いてついてきてくれたようだ。これなら暗い森の中でも、安心して少女たちが行水に精を出せるというわけだ。
月明かりが注ぎ込む川の水面を水鏡に、シュミーズ姿の乙女たちが身づくろいする様はまるでニンフたちさながらだ。
アランと言えば、昼間の即興演奏のあと、フェリシアのキスに顔を赤らめていた彼はまだあどけない少年の顔だったが、演奏中はいっぱしの音楽家のようにりんとしていたっけ......。
皆といっしょに馬車に戻ると、パメラは改めて大人と子供が共存する年頃のメンバーたちを目で追い、馬車の中をぐるりと見渡した。
座ったままボールをパスし合うのはアンディとアンナ。楽しげに見えるが、これも練習なんだろう......荷台の隅には皆の道具が詰め込まれた大きなトランクに、カゴに入った鳩もいる。
パメラが脱いだ服を見て、まだ中学生ほどだろう一番若いと見えるブリジットが甘えるようにすり寄ってきた。
「ね、パメラの服着てみたいな、私にも貸して!」
「今はだめよ、ブリジット」
すぐさまフェリシアがたしなにくる。「あらあらブリジットったら、髪はもっとちゃんとふいて乾かさなきゃ! はい、これ使って......そしたらもうあんたは寝なさい。パメラは私の寝間着を貸したげるから、いっしょに休みましょう」
まるで面倒のよい母親さながらのフェリシアの存在が、すでにパメラにとっては心の支えと化していた。
「ありがとう、あの、どうぞ私の服でよければいつでも使って! あたし、当面ここでお世話にならなきゃならないかもしれないし、こんなことでよろしければ」
「そんなに気を使わなくても大丈夫、困ったときはおたがい様でしょう?」
「あーフェリシア、ちょっと話が......」
さえぎってきたのはブルーノで、さっきまで一人で黙々と売り上げの計算から日々の帳簿付け、そして明日のプログラムの作成と格闘していたのだ。
2人は何やら神妙な面持ちで連れ立ち、馬車から出てもなお歩き続け、だいぶ皆から距離を取ろうとしているようだ。
「もしかして、愛の告白とか!」
2人を遠目に見送ってからブリジットが茶化す。
「さあ、それはどうかしらね」とエル。年上の強みを見せつけるように言い放った。「フェリシアがブルーノを好きなことは確かだけど......ブルーノにとってフェリシアは看板女優以上でも以下でもないでしょうよ」
「うわ、きっつ」
「うーん、何となくリュートの彼、アランがフェリシアに想いを寄せているような......」
思わずパメラが口に出してしまうとそこに居た女子が皆口をそろえる。
「あ、わかる? 実はそうなのよ!」
やはり、あの2人の絶品の歌とリュートには何かあると感じていたのだが......しかし恋とかではなくて、もっと何かがあるような気がしている。
「でもって、アランをねらってるのがアンナだものねー」と、今度はエルが茶化している。
「うるさいわねー」
離れたところでキャッチボールをしていたアンナがボールを投げつけてきたが、誰かがうまくキャッチしている。
「そういうエルは、兄さんのことが好きなんでしょうけど、私、認めませんから」
「はぁ? あなたのお認めは要りません!」
「エルはね、誰でもいいのよ」ブリジットがパメラにささやいていた。「ルックスはアンディがダントツだけど、座長夫人の座も捨てがたいってね」
「私もうここ出てくから!」
そこへフェリアが泣きながら駆け込んでくるから皆騒然。
「何なに? 何があったのよもー」
「やだー、フェリシアがいなくなっちゃうなんてーねえ、待ってよお」
「ブルーノがパメラと結婚するって言うの!」
「えええーーーー???」
続く
