12星座詳細その12 魚座・双魚宮(そうぎょきゅう)

双魚宮を定位置とする魚座について

 魚座の定位置は、黄道12宮の第12室、12ハウスが定位置であり、魚座の住まいです。牡羊座が筆頭となるホロスコープにおいて 最後の宮になります。

  下図)黄道十二宮と12星座の関係をとらえておきましょう。

黄道十二宮における第12室

12宮はわたしたちの人生の最後の場所、最終地点。私たちが居るこの世から「あの世」に通じる入り口です。

 太古から人が抱き続けている「私たちがいったいどこから来て、どこへ去って行くのか」という問いかけについて、様々な宗教、哲学、思想が一定の主義主張を提示し、私たちも主義主張に完全には沿っておらずとも、そこに多くの学びを発見しているものでしょう。すなわち、第12の宮は、そういった宗教や哲学がつかさどる分野でもあります。いわゆる思想、精神世界といった目には見えない世界の部屋なのです。 

守護星:海王星

 12ハウスを統治するのは、海王星。1846年にベルリン天文台によって発見されています。ギリシア・ローマ神話から「海の王者の星」の神名を授かるのですが、発見された後に、石油の発掘が始まり、石油化学の発展により現代文明と結びつけられます。さらに発明された写真技術等により、ヴィジュアル、映像、視覚デザインといったものを象徴する星として、海王星が位置づけられていきました。

 現在では、フィクション~ファンタジーの領域と関わるもの、 直接目に見えないもの、神秘的なもの、不透明であいまいなもの、人を惑わすもの、不安定な心理状態などと関連付けられています。即ち、12ハウスは、「潜在性」についてが物語られている場所なのです。全12室の中で、1~11室までは、表面化し明らかになる部分ですが、12室の事柄とは、表面化しにくい部分。1室と背中合わせの位置にあり、まさに、1室が外見に表れるものであるのに対して、隠れた要素、潜在性、潜在意識などを解釈する場所が12室になります。現実に対して、非現実や夢を物語る無意識、水面下というキーワードもある12室です。

 幻想、虚構、イリュージョンを解釈することもあり、一種の虚構の部屋でもあります。チャートにおいてこの位置が刺激されるなら、地に足のつかない現実離れした逃避傾向に注意する必要があるでしょう。しかし、SFファンタジー、フィクションの世界では大いに脚光を浴び、人々に夢を与える大作家として輝けるかもしれないのです。見えない敵について、また、ふいに差し伸べられる助けの手など、想定外の出来事が暗示されている場所なのです。典型的な解釈では、プライバシーを明かさない俳優、役者、芸能人などが関連するとされます。


海王星の守護神:ポセイドン、もしくはネプチューン

 魚座の守護神は、ギリシア神話のポセイドン、ローマに入ってネプチューン(ネプトゥス)と呼ばれた海を司る神であり、大神ゼウスの兄弟のひとりです。 原初の神ウラノスを破ったクロノスが、息子のゼウスによって王位を奪われた後、ゼウス、ポセイドン、ハデスの三兄弟で、クロノスの領土を三分割して統治することになり、ポセイドンは、水辺、泉を含む海辺を統治することとなりました。

 ポセイドンはゼウスの兄とされていますが、詩人ホメロスによれば「弟」にもなっています。いつもは海底にいて姿は現しませんが、怒りに触れると海によって災難を起こし、また荒れた海を鎮めることもできたと伝えられています。海の獣・海馬に乗っているのが常で、大きな三つ又の槍が彼のアトリビュートです。タロットカードにもしばしばポセイドンが描かれています。


 ポセイドンの妻は、海の精ネレイスのひとり・アンフィトリテ、息子は海の人魚・トリトンとされています。

 ポセイドンは、温厚で気前がよい反面、怒りに触れると怒りに触れると豹変する荒ぶる神となり、海によって災難を起こすとされていました。船旅や漁の無事を願って、人は海に生け贄を投じてきました。ある人によっては、慈悲の神ではなく峻厳の神であり、人を惑わす海の魔物でもあったのです。

 海という深遠な、また神秘的な世界を司る海王星の諸力は魔性にも通じるもの。金星に象徴される美とは異なる、人を魅了する幻想的で甘美なファンタジー・ワールドが海王星の下に広がることでしょう。


牡羊座の背後に位置する魚座

イタリア、ローマの天文学者、フランチェスコ・ブルナッチ(1640-1703)の1687年作品。天球図。南と北側との二つの半球が描かれていると推察されるもの。「天のシステム」を解説し、パネルの下にはテキストも豊富に記載されています。

この天球図に並んで描かれている魚座と牡羊座に注目

 12の宮の円環において、牡羊座の背後に、魚座は位置しています。牡羊座がつかさどる「自我」と魚座の「無意識」との関係性は興味深いものです。

 牡羊座は魚座に対して背を向けるポジションを取り、惑星の進行方向に顔を向けています。得てして、人は自己の思いに率直であろうとするものですが、意識の奥の深い部分にはとんちゃくしないもの。ゆえに「無意識」=意識することがない 心の奥底であるわけですが。

  下記はイギリスの天文学者ジョン・フラムスティード(1646年-1719年) により描かれた天球図上の魚座。

 天空の魚座は二匹の魚であり、尻尾の部分でつながれています。ここに私たちにとっては不可解な因果やしがらみを見ることでしょう。

 誰も皆、宇宙において、自由に泳ぎ回ることは許されていないのです。時も場所も選ばず、宇宙の命により定めを受けてこの世に誕生した私たちに、魚座はただ流れに身を任せるしないと教えてくれているのです。

 自分の意志を明確に持ち、行動し前進していくことは大切なことです。しかし実際にはどうでしょう。現実問題、自分の意のままにならないことだらけではないでしょうか。私たちが乗り越えるべき定め、運命について掘り下げる学問、それが占星学でもありますね。 

古代における魚のシンボル

 魚(さかな)はある地域では生臭さから不浄のものとされ、また一方で、神格化され崇められてきました。キリスト教においては、教祖イエスを象徴する生き物が魚です。水中に生息する生き物は、人間にとって不可思議な存在でした。水や海は、陰の要素、女性性、流動性の象徴であり、深い池や深海は、人の深層心理の象徴でもあります。人智の及ばぬ場所に住む、摩訶不思議な存在、それが魚だったのです。魚座は、非現実的な人物に象徴されますが、夢見がちなロマンチストとも言い換えることができます。占術家、宗教家、思想家として活躍できる要素は12星座一。心の潤いをもたらす癒し手として、努力次第でどこにいても歓迎される存在と化すでしょう。

 

二区分、三区分、四区分に見る魚座

二区分は女性(陰性)、三区分は柔軟性、四区分は水の性質となる魚座です。

柔軟性というクオリティ

 柔軟宮は、多様性に富み、その時々で、形を変え、反応も変わります。ことに魚座は女性星座でもあり、心優しく穏和で争いを好まない傾向。極端になると、すべてを受け入れ、何でもアリ。度量深く感性豊かなスタンスである分には問題ありませんが、つけこまれやすくもあります。最近は押しの強い人ばかりではなく、巧妙な心理戦でふところに入り込もうとするやからも増えているので、 そのつもりはなくてもトラブルに巻き込まれないようご用心。 

 精神面で何かと頼りにされ、気持ちを深く共有しあって依存したりされたりという問題にも直面しやすいでしょう。一度物事にのめり込むと長く深く、沈み続けます。いつの間にか周囲ばかりではなく自分をも見失い、宗教や精神世界といった現実社会とかけ離れた世界、時には裏社会にはまりこんでしまう危険もあるでしょう。

 くれぐれも占いジプシーにならないようになんて言いつつも、やはりその筋の力がずば抜けていることも確かな魚座。スピリチュアルな世界における癒やし手として、才を発揮する可能性も大なのです。 


水というエレメント

  水に象徴される人とは、この世を潤す水のごとく、人の心のオアシスとなる存在です。 旧約聖書の創世記における第一章は以下のような書き出しで始まっています。「地は形なく、やみが淵のおもてにあり、神の霊が水のおもてをおおっていた」。水は、母性の異形でもあり、大地母神が存在していたように、水もまた海なる母、女性の諸力を象徴するものとして尊ばれてきたことは周知のこと。特に、柔軟星座の魚座は究極の「潤い人」。母神の要素ここにありです。

 12星座きっての心優しい、女神のような人なのです。優しさとはイイ人であることではありません。「優等生、優れた」というところで使われる「優」の一字は、一種の理知的な側面であり、謙譲の美徳に通じるように思われます。一歩引く徳性、奥ゆかしさに表れる知恵、温かい心で他者に譲ることができる、そして知らず知らずのうちに他者の心をわしづかみにしてしまう、それが魚座の最たる魅力なのです。


総括:魚座ってどんな人?

 以上、総括して下記の要素で構成されている魚座のパーソナリティーと言えば、

定位置:黄道12宮の第12室

守護星:海王星 

二区分:女性宮 陰性

三区分:柔軟宮

四区分:水の宮

【双魚宮に太陽を持つ人 】主に2月20日~3月20日生まれの魚座のパーソナリティ

 12星座一の流動的な気質が特徴。他者の気持ちに寄り添うことができる心優しさにも通じるもので、気遣いの達人であり、人の喜びが自分の喜びになる人。奉仕精神あふれる人でもあり、NOと言えない典型でも。感受性豊かで芸術的な才能に優れ、SFファンタジー、神秘、精神世界はお手のもの直感力やインスピレーションに長けている人もいるでしょう。小さなことで大きく揺れては外界の影響を受け流されやすく、優柔不断と言われがち。

  


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