黄道十二宮‐第六の宮をつかさどる乙女座集


♍ 処女宮(Virgo)

処女宮は、黄道十二宮の乙女座の宮、「Virgo(ヴァーゴ)」はラテン語で「処女」「乙女」を意味します。

英語の「virgin(バージン)」や「virginity(バージニティ=処女性)」も、同じラテン語 virgo に由来しています。

処女宮=Virgo=バージンという語源的な一致があり、占星術の乙女座はそのまま「処女性」の象徴でもあるのです。

ギリシャ神話のアストレア(正義の女神)デメテルの娘ペルセポネなど、純潔や自然の秩序を象徴する女神と結びつけられています。彼女たちは「未だ穢れなき存在」として、天に昇ったり、季節の循環に関わったりします。

🌿 「汚れ」と「穢れ」の違い

  • 汚れ(よごれ) : 物理的な不潔さ 精神的・象徴的な不浄 対象 目に見えるもの(服、手、床など)日常的表現
  •  穢れ(けがれ) :目に見えないもの(心、魂、場、儀式)。 取り除き方として、 洗浄・掃除 浄化・祓い・儀式を用いるもの。 宗教・神話・精神文化表現
    たとえば「服の汚れ」は洗えば落ちますが、
    「心の穢れ」は祓う、癒す、赦すという行為が必要になります。

まあしかしこれはもののたとえと言いましょうか。心の清らかさを左右するのもの、それはやはりその人本人の発するもの、見る人の感覚による相互作用ではと、筆者は考えます。けがれていないものはいないので、当人がそう感じようと、第三者は違うと言うような。本来無色透明な心の色が、その時その時、人によって見える色が違くなるようなですね。見方によっては、いくら祈祷したって清まらないものは清まらないと。


🕊️ 象徴としての「バージニティ」

現代では「バージニティ」は性的な経験の有無に焦点が当たりがちですが、古代や神話的文脈ではもっと広い意味を持っていました。

  • 未だ誰にも触れられていない精神的な領域
  • 自分の内なる秩序を守る力
  • 自然と調和する純粋な感性

処女宮は、まさにこの「聖なる未完成」「触れられざる美しさ」を体現する星座なのです。

美しい、、と言っても、華美ではありません。むしろ、整然とされた整った秩序正しい美のカタチ―は、もちろん、目には見えない秩序や純粋性をも包括するところに注目しましょう。

古来、乙女座に寄せた文脈や思想では、「汚れ」ではなく「穢れ」という、先にも述べた不可視の領域での表現力が採用されてきました。

  • 「穢れ」は、精神的な乱れや、神聖なものが損なわれることを意味します。
  • 神道や古代の思想では、死、病、月経なども「穢れ」とされ、浄化の儀式が必要とされました。
  • つまり、「穢れ」は神聖なものに触れるときの緊張感や敬意を伴う言葉なのです。

乙女座=「未だ穢れなき存在」とは、まだ誰にも触れられていない、内なる聖域を守る存在。それは、単なる清潔さではなく、魂の静けさと整然とした美しさを意味しているところとなるでしょう。


☃️白い乙女

各所で西洋占星学術講座を開催していますが、ある受講生さんが、世の中では純粋、純白、純心、などそれぞれ混同されているようだと、おっしゃられていたことが心に残っています。

「純粋が無色透明で、純心が真っ白なイメージ」・・なるほど、似通ったことばでも、 色で表現することによって、また入り込みやすくなります。新しいイメージもさらに浮かび、そのものを豊かにとらえていくことができますね。

「無色透明」と「純白」、どちらもきれいな、美しいもの、"混じりけのない存在"を象徴しますが、その方によれば、処女宮に重ねると、そこにはやはり一面の雪景色のようなイメージであるとのこと。

なるほど、白はも強い色です。は補助カラーでありながら、それ一色になると、何ものにも勝る強さに転じます。意志ある静けさのようにも感じられます。12星座どれもが一本の芯をもっており、どれもが芯は強い存在である中、処女宮の純白は、整えようとする意志、乱れ穢れを完全にシャットアウトする魂の色―これは強力です。始まりの色であり、祈りの色

❄️ 無色透明の乙女

またある人は、「繊細なガラス細工の透明感こそが乙女座のカラーである」とも。触れることがはばかられるほどにデリケートでこわれやすく、はかなげな存在としてはやはり12星座一。プリズムでできたお城で大事に大事に無菌培養されたかのような方々をお見受けすることがあります。水の星座(♋、♏、♓)の特徴である感受性の強さと、一見取り違えやすいのですが、むしろ「潤いがない」ゆえに、その無機質な硬質がそもそもに「傷つきやすい」部分。精巧な機械仕掛けの時計のように、ひとつの部品で動かなくなる。振動で破損することもある― その人がかかえている「傷」の本質までも含めてケアする必要が、ここにあります。感情についた傷とは、癒し方が違う―だからこそ、乙女座の防衛心に通じていくのかもしれませんね。もう誰も、何も、耳に入れたくない、目にもしたくないと。感情の裏返しのように、人に帰化して安堵するところではないから。

もともと仕組みとして傷がつきやすいがゆえに、自覚もあり回避策が求められる乙女座の方々は、守られて、救われる体験もされて、救済活動に目覚めていく傾向もあるようです。

この詩は、乙女座の「壊れやすさ=弱さ」ではなく、壊れやすさ=感受性の強さとして描いています。


🧊氷のような乙女

雪の女王が放った氷の破片のように、痛く鋭く、人を傷つけることもある、細かく繊細な乙女の所業もよく知られています。

重箱の隅をつつくような批判精神、過敏性、神経質― ここにお悩みの乙女座界隈の人たちもよく見かけます。ですが、逆に他の11星座は知っているのです。この乙女座の精巧にして精妙な精神性こそが地上の多くの事柄を解決するカギとなることを。「批判」は、単なる否定ではなく、理想との乖離に対する痛みの反応であることをも、皆々で理解できれば理想的ですね。

  • 細部へのこだわりは、秩序への愛。
  • 神経質さは、混乱への恐れ。
  • 重箱の隅をつつくような視点は、世界のほころびを見逃したくない誠実さ。

時としてこれらの言動、姿勢が、まるで雪の女王が放った氷の破片のように、冷たい刃のように鋭くなってしまう。心に刺さり、抜けなくなることもある。

🕊️ 乙女座界隈の悩みと癒し

乙女座界隈の方々が自身の性質に悩むのは、本来の優しさと、鋭さの間で引き裂かれるような感覚があるからです。

  • 「こんなに細かく見えてしまう自分が嫌だ」
  • 「誰かを傷つけるつもりはないのに、言葉が冷たくなってしまう」
  • 「完璧を求めすぎて、自分自身が苦しい」

このような声が、西洋占星学・術をあつかう場でこそ、優しく受け止められ、再生の光を得るところを、多く目にしてきました。
批判精神は、癒しの手にもなれる——それを伝える作品に変わることもあるでしょう。乙女座の魂が多くの人を救っている。

✨ 詩の断片:氷の破片と祈り

雪の女王が放った
氷の破片は
世界の乱れを見抜くための
祈りだったのかもしれない
でもその鋭さに
自らも傷つきながら
乙女は
静かに整え続ける

Solaniaを受けてNahdiaより




あなたも乙女座界隈の人?=隠れ乙女座占いをどうぞ!

 皆さんが日頃「自分は〇〇座」だとご理解いただいているところは、太陽星座にすぎません。正式な西洋占星術を用いた運勢鑑定では、仕事であれ恋愛であれ、その人の太陽星座だけで占断するということはありません。太陽の他、月、水星、金星、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星の10惑星の座相を算出して総合的に判断することとなります。

 ご自身の星をしっかり占断されたい場合はぜひ当方作成の「あなたの星の診断書おつくりします」をご利用下さい。あなたの星、各10惑星が何座に入っているかだけでも知っておくと後々役立つでしょう。

  月星座~冥王星星座が乙女座の場合は?

❧月が乙女座

 真面目に健気に、いつもまっすぐ前を見ている人。話声が小さかったり、気を使いながら振る舞うところが、ちょっと気の弱そうな、デリケートな人にも感じられるでしょう。瞳がきれいとか、清純な印象があるかもしれません。実際に小ぎれいにしていて、清潔感もあるはず。裏目に出るとカタブツで潔癖。近寄り難いオーラを放っていることに。親しくなるにはちょっと、、と遠巻きにしている人も少なくないようです。社会のルール・モラル違反には厳しく、町中で人に対して説教調になることもある人。太陽が、冒険するタイプの火や風のサインに入っていても、この月がブレーキになって突発的な動きに出ることはないでしょう。乙女座のみならず、牡牛座、山羊座のブレーキは社会で大変役立つもののよう。

❧水星が乙女座

 感情表現が淡泊で、一体何を考えているのだろう?と人から思われやすい人です。頭の中で色々計算しながらしゃべるので、「論客」と評判かもしれません。人の話を受け入れる力は薄いようで、理路整然とした話でないと、イライラしてしまうことがあるでしょう。要点は何?と、よく人の話をさえぎることがあるかも。そうかと思えば、無関心を装いながらも、聞こえていた話の内容をちくいち覚えているようなところもあります。計画的で緻密で、油断のならない人だとも言えますが、仕事上は、頼りになる存在。ただ、太陽が獅子座に入ると、どうしても計算高さと高圧的なムードとで、かなり人にプレッシャーをかけることになっていきそう。 

金星が乙女座

 人を好きになることに少々こわがりなところがあります。「ガラスの純愛」なんてことばがピッタリ。日頃はどんなに勇ましく行動力があったとしても、愛に関しては傷つきやすく繊細。ささいなことが引っかかると、そこで恋心にストップがかかってしまいます。感情よりも理論が先行して、相手に対する判断が厳しくなり、結果敵に自らトコトン人を好きになることがなかったり、実際のおつき合い自体に踏み込んでゆくことも少なくなります。何かと細かく、納得いかないことはよしとせず自分のこだわりを押し通すので、交際相手からつき合い難いとクレームが出がち。そんなところまで包み込んでくれる度量の深い男/女性が本命のお相手でしょう。

 

❧天王星が乙女座

 目には見えないが鋭く痛い、そんな起爆剤として、社会生活における影響力となります。社会風刺、言論、文化的な力と化すでしょう。医療、福利厚生、健康・衛生上の事柄に深く関わる可能性もあります。ただし、ある一定の時期に生まれた人は、皆同じこの座相を持っていることになり、世代的な特徴としても出ます。


❧火星が乙女座

 感情を害すと、チクリと嫌みを言って攻撃します。人を攻めるにも、手を汚すことは嫌い。自分の立場をおとしめることになるなら、何も言わず、言いたいことは言わせておけばいいと考えるところも。間違っても感情的、突発的な行動に出たくない人ですから、感情的になっていたら、それ相当のことがあったということなのでしょう。議論には強く、細かいところまで調べ上げて、相手のぐうの音も言わせないところまで追い込みます。愛においては、いわゆるオクテで、真面目。出会いがあっても、「好き」という結論に至るまでに時間がかかったり、相手のささいな欠点がきっかけで好きになるのをやめてしまったりと、理屈で恋をする傾向。恋のルールブックを重んじ相手に誓約を求めるので、交際が始まっても少々のことで相手を責めたりギクシャクしがち。

 

❧木星が乙女座

 勤勉であること、シンプルでムダのない生活を営むことで幸運をつかめる人です。何か特別な要素を求めるほど、道を逸れてしまいがちです。人としてマジメに淡々と生きることが、近年疎んじられてきた傾向がありますが、そんな世相には動じないことです。細かいことに面倒くさがらず、自他共によく世話をしてあげること。健康管理に重点を置くことでもあるでしょう。世代的な特徴としても出ます。

 

❧土星が乙女座

 細かすぎて、へりくつになる傾向。なかなか人とうち解けらないとか、存在感が薄いという場合もあり、太陽星座との兼ね合いがポイントにもなってきます。太陽が同じ地の星座だと、かなり地味だったり、ケチケチした印象を与えてしまうかも。しかし、昨今のエコロジーブームの担い手として活躍できる要素に変えることでしょう。心も身体もデリケートで傷つきやすい点もあり、正しい知識と十分なケアが求められるでしょう。世代的な特徴としても出ます。

 

❧海王星が乙女座

  繊細、デリケート、過敏症、神経症の典型的な座相でもありますが、ある一定の時期に生まれた人は、皆同じこの座相を持っていることになり、大きく致命的な影響になることはありません。世代的な運気にも関わってきます。



❧冥王星が乙女座

 クリーンな生き方を理念とするでしょう。人生の節々で、「立つ鳥跡を濁さず」という姿勢を周囲に見せつけるようなことがあるかもしれません。会社と組合との労働闘争、労災を暗示する座相でもありますが、ある一定の時期に生まれた人は、皆同じこの座相を持っていることになり、世代的な運気にも関わってきます。